神戸の海運会社「東幸海運株式会社」(本社、神戸市東灘区)が公式Xで公開した、船の中の恋愛ルールがネット上で大きな話題になっています。

 ユーザーからの質問「船内恋愛ってどうなんですか?」に対し、同社の回答は「当社では社内恋愛はOKですが船内恋愛はNGです。付き合うことになったら会社に連絡するルール。以後は別々の船に乗船する事になります。その場合は長期休暇のタイミングは一緒になるように調整します」というもの。

 同社社長の笹木重雄さんに船内恋愛NGの理由や、投稿に込めた思いを聞きました。

3カ月間、海の上で共同生活

──勤務体系と乗船人数は。

「平均で3カ月乗船し1カ月休暇です。乗組員は88人おり、うち女性は4人。船は6隻所有し、1隻当たりの乗船定員は11人。トレーニング中の船員さんを含めると1隻12〜13人程度です」

──船内恋愛がダメな理由は。

「当社のタンカーは国内の石油輸送を行っていますが、3カ月を船の上で過ごすことになります。男性の乗組員の中には、恋人や家族と離れて乗船している人も多く、そんな中で『船内で男女の仲になられたらたまらない』という意見もあり、船内の男女交際は禁止としています」

──船内恋愛NGはいつから。

「当社では20年以上前に女性の船員さんを採用するにあたり、かなり徹底したルールを作りました。男女が同じ船に乗って問題が起きたら逃げ場がないためです」

──「男女でドアの閉まった部屋に入ると強制下船」というルールもある。

「何をもってアウトとするのかについては、明確な基準が必要と考え、男女が同室する場合は居室のドアを閉めないことにしています。船のドアは開けたまま固定でき、カーテンは閉められます。やましいことがなければドアを閉める必要はないだろうという取り決めです」

──社内恋愛は認めていますね。

「男女交際を禁止するだけでは両方の船員さんに会社を辞められてしまう恐れがあるため、『きちんと連絡しておけば長期休暇の時期は合わせる』というルールもセットで作りました。採用面接時には、船内での男女交際は禁止であることと、職場恋愛は別れた時に雰囲気が悪くなり、居辛くなる方もいるためおすすめしてないこと、でももしそうなった場合は会社に連絡すると休暇を調整することを伝えています」

──これまでに社内結婚したカップルは。

「船員さん同士で結婚したカップルは4組います。うち2人は現職です。航海士の男女が結婚するときに、結婚式に同僚の船員を20人ぐらい招待したいと言われましたが、船が止まってしまうから勘弁してほしいとお願いして、10人程で許してもらったこともありました」

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 ネット上には同業他社で起きた、船内での男女関係のトラブルが報告される例も。笹木社長も他社の事例は把握しており、「船員さんを目指している女性や親御さん、新たに女性を雇用しようと考えている船会社さんに少しでもお役に立てないか」と考え、同社の取り組みの一例を公開したといいます。

 同社の投稿に対し、ネットユーザーからは「社内ルールが明確で親切」「とても参考になる」「正しい対応だと思う」「全部の会社がこうあって欲しい」「船内恋愛は絶対ダメですよね。他の人が困る」「当人たちも周囲も公正な判断がしにくくなる」などの感想が寄せられています。

男女平等だけど、配慮も忘れず

 女性船員を採用するまでは「男性だけの職場でした」という同社。「女性の船員さんを受け入れてもらうためには、乗船中は可能な限り男女公平に働いてもらうしかない」と考え、男女平等のルールを徹底。性別関係なく、一人一人の能力を評価し続けた結果、在籍年数が10年になる女性乗組員や女性幹部も誕生しました。

 「当社船では配乗(メンバー分け)が毎回変わるのですが、女性が0人になることもあれば3人になることもあります。船内には女性用浴室や船室、女性区画といった女性専用の設備がほとんどありません。実は以前、業界で女性区間を導入する船が流行り始めたときに社内の女性乗組員に意見を聞いたところ、『当社では不要』といった反応でした」(笹木社長)

 かといって何でもかんでも一緒くたというわけではなく、「男女平等ではあるけれども、女性に30kg以上の物は持たせてはいけないなど、法令で決められていることは厳守しています。また、共用設備の洗濯機は、昔の習慣だと洗い終わった洗濯物を勝手にバケツなどに取り出されてしまうことがありましたが、『取り出し禁止』の札を掲示できるようにしています」など、配慮も忘れません。

 新卒採用では女子学生限定の就職説明会には参加しない方針を選んでおり、「男女とも公平に採用を行いますのでエントリーいただけたらうれしいです」(笹木社長)。

(まいどなニュース・金井 かおる)