2010年、大阪で気軽に江戸落語を聞いてもらおうと、東京の旬の落語家を大阪に呼ぶ「吉田食堂」が誕生。近年は毎月のように開催、関西のファンには知られた会となっている。

 この「吉田食堂」を主催するのが吉田達さん(38)。大学卒業後はスーパーに入社したが半年ほどで退社し、落語家の桂文我に弟子入り。だが「落語の厳しさもわかっていなかったうえ、師匠の家が三重県の松阪だったんで、ホームシックにかかって」と名前をもらう前に廃業。その後、落語協会の台本コンテストで連続して受賞したという変わり種だ。

 落語会に通ううち当代の名人とも謳われる柳家さん喬の「追っかけ」になるまでほれ込んだ。だが東京の落語家を大阪で聞くチャンスは少なかった。そこで自身で主催しようとしたが、周囲は反対。そんななか唯一「やったらええやん」と背中を押してくれたのが桂文三で、「吉田食堂」という名前も考案してくれた。さん喬も「やるよ」と応えてくれ、第1回の会が大阪・トリイホールで開催された。

 それからは三遊亭白鳥、柳家喬太郎、古今亭菊之丞、桃月庵白酒、三遊亭兼好、春風亭一之輔ら東京ではチケットが取りにくい人気落語家を呼んできた。会場は道頓堀のZAZAを中心に80〜150人程度の劇場。「もっと大きなホールを満員にする師匠方ばかり。でもうちの場合、小さな劇場でお客様との距離感を楽しんでいただいている」という。また若手のユニット「成金」の柳亭小痴楽、瀧川鯉八、そして講談師の神田松之丞らの会も手がけてきた。

 それでも「昨年の夏までは、落語会以外はずっとバイト」と苦笑い。だがあえて退路を断ち、落語会のプロデュース一本に絞った。

 今年は落語会を主催から10年。記念として12月22日に大阪・ドーンセンターで「噺家ざかりの吉田食堂10周年記念公演」を開催する。出演はさん喬、喬太郎、文三、白酒、一之輔、笑福亭喬介といった豪華メンバー。「これまで応援してくださった皆様への感謝もこめて。落語はもちろん、演者さんによるトークのコーナーも出来たら」と意気込んでいる。

(まいどなニュース/デイリースポーツ・石川 美佳)