今年1月15日に当時72歳男性の自宅に放火して殺害した強盗殺人と現住建造物等放火の疑いで、8月27日に宮城県警に逮捕された同県大崎市の無職岩崎恭子容疑者(45)について、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は10日、当サイトの取材に対し、その犯行動機や手口などを分析した。

 まず、逮捕までに7カ月を要した理由について、小川氏は「事件発生当初から岩崎容疑者が浮上していたことはが間違いないが、被疑者と特定するに至る、逮捕状を請求するまでの相当な理由、つまり証拠がそろわなかったことと、コロナ禍の影響で警察の聞き込み捜査などで制約があったことも一つの要因として考えられる」と説明した。

 岩崎容疑者は約3年前、共通の知人を通して男性と知り合い、複数回にわたって合計約1000万円の借金をしていたという。「借金返済や生活費に充てた」と供述しており、警察は被害者男性と借金トラブルがあったとみて調べている。

 小川氏はその殺害動機について「一番に考えられるのは1000万円の借金。昨年10月くらいから返済を迫られており、『これ以上、金を引っ張れない』上に、もう返済できないということから殺害を考えたのだと思います」と指摘した。

 1月15日午前8時45分頃、同容疑者は被害者宅に放火。遺体は損傷が激しく、外傷の有無についても不明だという。凶器などで殺害してから火を付けたのか、動けない状態にして生きたまま焼死させたのか、警察は捜査を進めている。

 その点について、小川氏は「最近、警察が明らかにしたのですが、当日午前中に容疑者が被害者宅を訪ねていたということで、本人も認めている。これは一つの推測ですが、手足を縛ったような痕跡は見つかっていないことから、睡眠導入剤入りの飲み物を飲ませた可能性がある。朝9時前という、起きていてもいい時間、逃げ出してもいい状況なのに、それできなかったのは、何らかの理由で動きが制約されていたのではないか」と説明した。

 さらに、小川氏は「警察発表でも、ご遺体の損傷が激しく、外傷があるかどうか分からないくらい損傷している。被害者宅は全焼しており、例えば、灯油やガソリンを複数箇所まき、ご遺体の周辺を強く燃えるようにしたということが言えると思います」と付け加えた。

 容疑者は車で逃亡後、一度現場に戻って消火作業をながめており、警察に事情を聴かれていたという。

 小川氏は「群衆の中に容疑者がいることは多いが、今回のケースは、実際に家が燃えているかどうかよりも、男性が搬送されているか、まだ家の中にいるか、つまり、被害者が亡くなったかどうかの確認のために戻って来たのだと思います」と分析した。

 放火をして相手を死に至らしめようとする人間の心理とは、どのようなものなのだろうか。小川氏は「直接、相手の生命を絶滅することができない、非力な者がやる手口です。本当に恨みが強ければ凶器で何度も刺すといったことをやるが、相手に直接、手を下さず、顔を見ないで死に至らしめるということで、放火は比率的に女性の犯行が多いのです。殺人を犯しておいて、そのご遺体を証拠隠滅するために火をつけるケースもありますが、今回の死因は『焼死』ですから、生前に火を付けている。これはやり方としては非常に凄惨な事件であるということが言える」と解説した。

 最後に、小川氏は注目ポイントとして「岩崎容疑者の職歴」を挙げた。同氏は「保険外交員のほか、私が関係者から聞いたところによると、障害者施設やデイサービス、介護、接骨院など、高齢者を相手にする仕事に従事してきた。そこで知り合った一人暮らしの高齢者の方から、数万円ずつ、あちこちから借りていたという話も聞いています。今回の事件は、お金の余裕はあるが、一人暮らしで寂しい高齢男性の気持ちにつけ入ったと言える。最初は数万円だったのが、次第にエスカレートし、これ以上の借金を断られたことから殺害に思い至ったと考えられる」と推測した。