ひとつのメロディーで演歌とバラードに歌い分けた業界初の作品が間もなくリリースされる。5月19日に徳間ジャパンから発売される沖田真早美の新曲「残雪平野/東京ヶ丘」(作曲・岡千秋、作詞・幸田りえ、編曲・猪股義周)がそれ。この2曲は”両A面”となっており、歌詞は異なるものの、同じ作曲リズムとなっているのが特徴だ。プロデュースしたのは沖田のマネジャーでもある母・晴留子さん。1年半ぶりの新曲は発売前から注目を浴びている。

 コロナ禍であらためて、その良さが見直されている演歌。この道26年の沖田真早美も画期的な新曲のリリースを前に手応えをつかんでいた。

 「今度の新曲は同じメロディーで泣かせる演歌と泣かせるバラードを歌い分けています。実はこれ、母が寝ずに考えたアイデアなんですよ(笑)。完成するまでいろいろありましたが、最後はワンチームになり、すばらしい作品が出来上がりました」

 レコーディングに際しては一段と歌唱力が問われるだけに沖田自身、いままで以上に緊張感を持ち、集中力を高めたという。

 代表曲のひとつ「落花繚乱」などを手掛けた作詞家の幸田りえさんは、2つの詞を同じメロディーで歌い分けた沖田について「私の詞を見事にいかしきった。まさみちゃんの歌っている姿にキュンとしてしまいました」と絶賛した。

 作曲を担当したのは、名曲「浪花恋しぐれ」などでも広く知られる岡千秋。その岡が「バラードの“東京ヶ丘”の歌い方がよくて俺、泣いちゃったもん」とうなずくと、これには沖田も「先生を泣かせちゃた!!」と手放しで喜んだ。

 ここに沖田の演歌では常連の編曲・猪股義周が加わり、演歌とバラードを絶妙にアレンジした。特に「東京ヶ丘」はムード歌謡を見事に歌い上げていると好評で歌手、マネジャーとして二人三脚で歩んできた沖田母娘はレコーディング後、ともに感極まり、涙に暮れた。

 「最初に岡先生の曲があり、その後に多くの中から幸田先生の詞を選ぶことになったのですが、決め切れずにいたところ、母が“岡先生の曲を2つの詞にアレンジを変えてみては”と発案しました。なんといっても同じ曲を編曲したのは初めてで猪股先生にとっても凄い挑戦だったと思います」

 その甲斐もあり、YouTubeで先行配信されている「残雪平野」は好調な滑り出し。「東京ヶ丘」はまだ配信されていないが、こちらの方はバラードに合わせ初めて着物を脱ぎ捨て、洋服姿でのポスターやジャケットが完成し、予約状況も順調でリリース前から注目を集めている。

 実際、NHK歌謡担当ディレクターによると演歌はいま、見直されているそうで「コロナ禍で国民が苦悩の日々を送っているので演歌時代の再来もある」と話す。発売後の27日には新曲披露会を開催予定しており、沖田自身も意気込んでいる。

 「一歩一歩、できることを地道に歩いていこうと思います。コロナ禍でどちらかと言うと遠慮気味になりますが、やれることは勇気をもってトライしていこうと思います。本来は“密”を避けないといけませんが、最大限の感染対策を講じて新曲披露会を開催することになりました」

 同じメロディーによる「残雪平野」と「東京ヶ丘」という2つの新曲とはどんなものなのか。演歌革命とも言うべき新たな試みといえば、大げさかもしれないが、早く聴き比べをしたいものだ。

(まいどなニュース特約・吉見 健明)