みかんが美味しい季節ですが、みかんを食べ過ぎて、実際に手のひらが黄色くなったご経験はありませんか?

 これには「柑皮症」という病名がついていますが、病気というより「症状」と考えてください。柑橘類やカボチャ、ニンジンなどに多く含まれるカロテノイドの一種である、β(ベータ)クリプトキサンチンの血中濃度が上がり、脂肪細胞と結合することで、皮膚の厚い手のひらや足の裏が黄色くなります。もちろん一時的な症状で、健康に害はありません。βクリプトキサンチンは代謝されて、のちにビタミンAになりますのでご安心ください。

 みかんの食べ過ぎで肝臓が悪くなり、黄疸が出ているということでは、決してありません。柑皮症と黄疸(高ビリルビン血症)の鑑別は眼の白目の部分を見ればわかります。白目が黄色くなっていたら高ビリルビン血症で、重病が隠れていることも多く、全身の精密検査が必要です。ビリルビンと違って、βクリプトキサンチンは白目(強膜)の細胞には結合しません。

 フラミンゴは、赤い色素を含む植物プランクトンを食べることで、ピンク色の羽や皮膚を維持しています。動物園では赤い色素入りの餌をフラミンゴに与えています。鮭の身やカニの殻が赤いのは、同じくカロテノイドの一種、アスタキサンチンを含む動物プランクトンを食べているからです。βクリプトキサンチンやアスタキサンチンなどのカロテノイドは、植物しか作ることができません。鮭やカニが食べる動物プランクトンの赤色は、植物プランクトンを食べているからです。目に見えないほど小さな植物プランクトンに含まれる色素が、食物連鎖全体を赤や黄色に染め上げているなんて、なかなか壮大な話ですね。

◆松本 浩彦 芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。