医療用品の企画・開発・販売を行うクラシコ株式会社が実施した「ふしぎなナース文化に関する調査」によると、「髪色は明るくしてはいけない」「靴下・下着は白」「看護服は上下とも白」など11の「ふしぎなナース文化」を抽出することができたといいます。また、看護師が意図を理解できないまま残っている「ふしぎなナース文化」について、看護師、病院利用者、病院幹部それぞれの意見を聞いたところ、お互いの認識にギャップがあることがうかがえたそうです。

2022年4月〜7月の期間に実施された調査で、全国の20〜50代の看護師の男女400人、看護管理者(看護師長以上)25人、20〜70代の病院利用者400人に聞きました。

まず、全国の病院・クリニックに勤務している20〜50代の看護師の男女400人に「自身が働く病院で、疑問や不満に思っているルール・慣習」について聞いたところ、以下のような11の「ふしぎなナース文化」を抽出することができたといいます。

▽髪色は明るくしてはいけない
▽靴下・下着は白でなければいけない
▽看護服は上下とも白でないといけない
▽髪を結ぶシュシュやヘアゴムは、黒や茶など地味な色でないといけない
▽女性はまつげエクステをしてはならず、男性はひげを生やしてはいけない
▽寒い冬でも、半袖のナース服から出る防寒インナーや患者の前でのカーディガンはいけない
▽通勤時の服装も地味でなければいけない
▽ナースステーションでは水分補給ができず、飲みものの種類にも制限がある
▽休憩時間であっても、病院外に出ることはゆるされない
▽看護師は移動にエレベーターを使用してはいけない
▽SNSで投稿したり、友達の投稿にいいねしたりしてはいけない

また、「おしゃれ染めはもちろん、白髪も黒に染めなくてはならない」「たまに通勤時の服装チェックがある」など、さらに細かな制約があるとの声や、「ナースシューズは配給だが、靴擦れなどおきやすい人もいるため指定のナースシューズは時代にそぐわない」と、実体験からの不満の声も挙げられたそうです。

続いて、「自身の勤務する病院に存在する独特な慣習・ルールの存在意義や理由を知っていますか」と聞いたところ、「あまりよく知らない」(33.5%)、「全く知らない」(10.5%)を合わせると44.0%となり、半数近くの看護師が理由が分からないまま、病院独自のルール・慣習に従っている状況にあることがうかがえたといいます。

また、「ルール・慣習のせいで仕事に行きたくない・辞めたいなど労働意欲がそがれたことがありますか」と聞いたところ、「よくある」(10.8%)、「たまにある」(28.8%)を合わせて39.6%の人が「労働意欲がそがれたことがある」と回答したそうです。

調査結果から同社は「理由の分からない病院独自ルール・慣習への不満が、仕事へのモチベーションの低下に繋がり、離職に発展するケースもあることが考えられます」と説明しています。

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次に、病院利用者400人に対し、看護師から挙がった11の「ふしぎなナース文化」について、「そう思う(ルールは必要)」か「そうは思わない(ルールは不要)」かを聞いたところ、全ての回答で6割以上の人が「ルールは不要」と答える結果に。11のルールの平均を取ると、84.4%の人が「ふしぎなナース文化」を不要と考えていることが明らかになりました。

また、11の「ふしぎなナース文化」のうち7つを身だしなみ・服装に関するルールが占めていることから、「身だしなみ・服装に関するルールに従っていないと清潔感がない・不快と感じますか」と聞いたところ、「不快と感じる」と回答した人は23.7%に留まった一方で、「不快に感じない」と回答した人は76.3%という結果となり、身だしなみ・服装に関する「ふしぎなナース文化」は残すべきか緩めるべきか、見直す余地があることがうかがえたといいます。

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最後に、病院幹部である看護管理者(師長以上)25人に看護師から挙がった11の「ふしぎなナース文化」についての意見を聞いたところ、「命を預かる責任から必ず守らなければならないものもある」との意見が多く寄せられたといいます。一方で、意図を理解していない現場看護師が4割を超えていることから、現場への浸透が足りていない状況がうかがえました。

同社は「身だしなみに関しては、病院ごとに規制の強さの強弱があり、独自ルール化していると考えられます」と述べています。

また、「ルールについて看護師たちと話し合ったり、意図を説明して理解を図ったりするような機会」については、「あまりない」(36%)、「全くない」(16%)と答えた人は52%と約半数に上りました。

なお、昨今では、業務に影響を与えない範囲で暗黙のルールを見直す動きが少しずつ広がっていることから、看護師に「勤務する病院内で、実際にここ数年で変えたルールはありますか」と聞いたところ、「髪色、カーディガンの色などはゆるくなった」「ユニフォームは白でなければならないという院長の暗黙のルールを変えてカラーにした」「ナースシューズは白をベースとするが、ラインやポイントは良い・色を白とすると、汚れや血液付着がわかるので清潔を保つ意味があるが自由度を広げた」「ストッキングは肌色も可」などの回答が寄せられたそうです。

さらに、「ふしぎなナース文化」を知った病院利用者からは、「業務に支障がなければ行動は自由であるべき」「時代遅れ」「過剰な規制は必要ない」「不自由を感じないで仕事をしてほしい」といった声が寄せられたといいます。