Aさんは都内に勤める40歳のサラリーマン。毎年順調に給料が上がり、年収は500万円まで上がりました。ようやく大台を超えて、少しは贅沢ができるかと思っていましたが、手取り額が意外に少なく、以前とあまり生活は変わりません。

「10年間で給料が100万円上がったけれど、手取りは75万円しか上がらなかった…」

そうなのです。日本は所得や遺産の額が増えれば増えるほど、税額が高くなる累進課税制度を導入しており、さらに社会保険料が高いので、見た目の年収が上がっても手取り額はそんなに増えないのが現状です。

Aさんのように年収500万円の場合は、税金が25万円、社会保険料が75万円と、大変な額が引かれているのです。

最近では物価が上昇し、むしろ生活は苦しくなる一方。給料は上がっていると政府は公表していますが、税金や社会保険料が上昇し、給料の「手取り」自体は減っているため、実際の生活は苦しいのが現状です。

Aさんは「こんなに働いているのだから、少しでも手元に残るお金を増やしたい」と思い、FPの鳥居佳織さんに相談をしました。

サラリーマンでも節税はできる!

今回は以下のケースを例にして説明します。

・本人:40歳のサラリーマン(社会保険加入)
・年収:500万円(賞与・各種手当を含む)
・扶養家族:妻は35歳でパート年収103万円以下の妻、16歳の子ども1人
・年間の社会保険料:約75万円(年収の約15%と仮定)
・年間の所得税・住民税:約25万円

年末調整で適用できる基礎控除・給与所得控除・配偶者控除・扶養控除のほかに控除を適用しなければ、手取り額は400万9,500円になる計算です。

自分の状況に当てはめて正確な金額を知りたい人は、シミュレーションサイトなどを使ってみましょう。

   ◇   ◇

――サラリーマンができる節税方法について教えてください。

いくつか方法がありますが、まずは「医療費控除」について説明をします。

医療費控除とは一定額を超えた分の医療費を課税所得から差し引く「医療費控除」は、確定申告によって適用できる所得控除です。

医療費控除の金額(上限200万円)=(実際に支払った医療費の合計-保険金で補てんされる金額)-10万円
※その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額

Aさんの1年の医療費が20万円だった場合、控除後の手取りがどう変わるかを見てみましょう(控除前と計算式は同様)。

・課税所得:157万円-10万円=147万円
・所得税・住民税:22万5,500円
・手取り:402万4,500円

医療費控除で増える手取り額は1万5,000円です。

――なるほど、これは簡単に利用できそうですね。サラリーマンでもできる節税方法は他にもありますか?

「特定支出控除」がおすすめです。特定支出(通勤費や研修費など)の自己負担が給与所得控除の2分の1を超えた場合、会社から証明書をもらって確定申告で申告することで「特定支出控除」を受けられます。

仮にAさんに80万円の特定支出があった場合、モデルケースの給与所得控除144万円÷2=72万円を超えた「8万円」が課税所得から差し引かれるしくみです。

・課税所得:157万円-8万円=149万円
・所得税・住民税:22万8,500円
・手取り:402万1,500円

特定支出控除を適用すると、手取りが1万2,000円増えます。

ふるさと納税は節税になる?

――ふるさと納税は節税になりますか?

ふるさと納税では、寄附額のうち2,000円を超える部分が所得税と住民税から全額控除されます(上限あり)。

ただ、ふるさと納税は節税というより税金の前払いです。例えば年間4万円を寄附した場合、3万8,000円の税金を先に支払ったことになります。

ふるさと納税の最大の魅力は、寄附額の最大30%相当の返礼品がもらえることです。

4万円の寄附なら返礼品の価値は最大1万2,000円相当なので、その分だけ手取りが増えたとも考えられるでしょう。

◆鳥居佳織(とりい・かおり)/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大手生命保険会社にて8年間勤務。保険コンサルティングでは個人、法人、問わず生命保険や損害保険を幅広く販売。金融ジャンルの専業ライターとして活動中。金融全般に関するさまざまな相談に応じてきた経験があり、実体験ベースでの執筆が得意。主に保険、年金、資産運用など幅広く執筆している。

(まいどなニュース特約・八幡 康二)