「団塊ジュニアなので同い年はとても多い。でも、私も含め同世代は非正規で、十分な収入がない人がたくさんいます」。7月10日投開票の参議院議員選挙に合わせ、京都新聞社の双方向型報道「読者に応える」のLINEで立候補者への質問を募ったところ、京都市北区の女性(47)からこんなコメントが寄せられた。政治は女性の訴えにどう応えるのか。

 女性は四国地方出身で、大学進学を機に京都に来た。現在は1歳上の自営業の夫と18歳の娘と3人で暮らす。

 大学時代はバブル崩壊直後だったが、景気が良かった時代の名残が漂っていた。就職活動も切実に感じなかったが、10人ほどのゼミで内定をもらったのは男性ばかりだった。

 女性自身は正規の団体職員の仕事を得ることができ、1997年に働きだした。しかし、出産を経て病気を患った。2005年、体への負担を減らすためにパートへと労働条件を替えた。ここが大きな転機だった。

 「(経済的に滑り落ちるとはい上がるのが難しい)すべり台社会という言葉がありますが、本当にそうだった」。いくつもパートやアルバイトの職を転々とした。

 国の出先機関のパート職員として働いたことがあった。11カ月働いて1カ月休み、また11カ月働いた。連続雇用すると、待遇を改善しなければならない。そのルールを逃れるための雇用期間にしか思えなかった。

 アルバイトの団体職員として務めたこともあった。仕事内容は正規職員に似た内容だが、手取りは年110万円に届かなかった。ある春、悲しくなる出来事があった。正規職員が初任給で母親にプレゼントを買ったと聞いた。「自分は親に買うことはできない…」。雑務が多く、スキルが上がらないため7年ほどで辞めた。

 1971〜74年生まれとされる団塊ジュニア世代。1歳あたりの人口は約200万人にのぼり、さらに就職氷河期世代に重なっている。一度も正社員に就いたことがない人も珍しくない。

 女性はハローワークで簿記や医療事務の職業訓練も受けた。でも「キャリアアップできない。何のプロでもない状態」が続いた。

 正社員の道も模索したが、求人票を見ても給与は「驚くほど安い」額だった。長時間労働が想像でき、身構えてしまった。現在は週3回、アルバイトの団体職員として働く。時給は最低賃金で「18歳の娘のバイト代より安い」。乾いた笑いしか出ない。

 今春、公立高を卒業した一人娘は海外の大学への進学を希望している。夫の親がかけてくれていた学資保険を元に何とか送り出せそうだが、「うちはお金ないんだから」と愚痴を言ってしまう。でも思い直す。「自分は何不自由なく大学を出してもらえたのに、あまり言ってはだめだな」と。

 国民年金基金に加入を促す通知が夫や女性の元にも何度か送られてきた。夫は加入を検討しているようだが、「どこにそんなお金があるっていうの」と反論してしまった。

 女性は社会人として働きだして25年を迎えた。その期間は日本の「失われた30年」にほぼ当てはまる。現在は義父が所有するマンションに暮らす。「家も買ってない。車も持ってない。なのに貯蓄もない」。

 女性は参院選の論戦を注視する。「働く人全体の収入が底上げするような未来をつくってほしい。非正規や正社員(という立場)で分断のない社会にしてほしいし、(支援が届きにくい)ひとりぼっちの人を可視化してほしい」

(まいどなニュース/京都新聞・浅井 佳穂)