昨年7月、大阪府高槻市で当時54歳だった会社員・高井直子さんが殺害された事件で、大阪府警は20日、直子さんとの養子縁組届を出した際に証人を捏造したなどの有印私文書偽造・同行使の疑いで、養子の会社員・高井凜(りん)容疑者(28)=川崎市=を逮捕した。直子さんには1億5千万円の保険金がかけられており、大阪府警は直子さん殺害の経緯について凜容疑者が事情を知っているとみて調べている。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は21日、当サイトの取材に対し、この事件について解説した。

 昨年7月26日、直子さんが自宅浴室の浴槽内で右手首に結束バンドを巻かれた状態で亡くなっているのを、訪ねてきた親族が発見。テレビやエアコン、風呂や廊下の電灯がついたままだったことから、当初、府警は入浴中に突然死した可能性も含めて捜査していたが、直子さんの右手首には結束バントが巻かれ、さらに左手首にもバンドを巻いて圧迫されたような跡があり、体の一部にうっ血もあった状況などから殺人事件として捜査していた。

 直子さんは1人暮らしで、昨年2月、凜容疑者と養子縁組。その歳、同容疑者は養子縁組届を偽造して高槻市役所に提出した疑いがもたれている。また、直子さんには総額1億5千万円の生命保険が掛けられており、受取人は養子縁組をした凜容疑者だった。
 小川氏は「結束バンドの跡が残っているのと、心臓や頭部などに死因となり得るものがなかったこと、司法解剖によって、睡眠導入剤などの薬物やアルコールが検出されていないこと、そして、通常では考えられないような額の保険金が掛けられていたといった状況によって、当初から事件性が疑われていたと考えられる」と説明した。

 凜容疑者は仕事にしていた保険の営業を通じて高井さんと知り合ったとみられているが、結婚歴があり、本人は「離婚調停中」と周囲に話していたという。小川氏は「別件逮捕とは若干(じゃっかん)違うのだが、身柄を拘束するための入口事件として養子縁組の書類の偽造として今回の有印私文書偽造事件での逮捕になったと思います」と付け加えた。

 小川氏は「容疑者は養子になったことを自分の妻にも伝えていないとか、稚拙ながらもある程度の計画性があったとみられる。警察は、保険金をかけた時期、かけた金額、増額をしたのかなどを調べているでしょう。養子縁組の時期、保険金加入の時期等、時系列的にたどると、計画性や犯行準備が見えてくる。また、被害者自身が誰かに『養子縁組をするんだよ』と親しい者に相談や話をすることが普通なのに、そういったことも分かっていない。どのように養子縁組を企てたのか、書類が被害者本人によって実際に書かれたものなのか、容疑者によって偽造されたものか等々、捜査は進められるでしょう。ただし、これは入口事件であり、本丸はその先にある殺人事件であることは言うまでもない」と指摘した。