近年、全国各地で大きな被害をもたらしている集中豪雨。身近な道路が冠水して「ひとごとではない」と思った人もいるのでは。水害時の避難はどのくらい難しい? 心掛けるべきポイントは? 秋の長雨&台風シーズンを前に、コノコト編集室スタッフが体験してきました。

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訪れたのは、地震や火災など、さまざまな災害について学べる体験型施設「四季防災館」(富山市)です。今回は、数ある体験メニューの中から、浸水時の避難を想定した「流水」と「風雨災害」の2つに挑戦。解説員の伊東勲さんに案内してもらいました。

まずは流水体験から。ここでは一方向に水が流れる深さ15、30、45㎝の水槽の中を歩きます。「深さ15㎝なんて、たいしたことない」と侮るなかれ。子どもの頭をイメージした風船を沈めたところ、流れる水は風船をすっぽりと包み込みました。防災館では安全が十分確保されていますが、現実の避難時に転んで倒れると、おぼれてしまう危険性だってあります。

さっそく胸まである胴長靴を着込み、流速0.5m/秒から挑戦しました。身長約158㎝の私にとって、水深15㎝は足首より少し上くらいの高さ。流れに沿って歩くぶんには、それほど難しくありません。ところが30㎝(ふくらはぎの中ほど)になった途端に、足を締め付けるような水圧がかかり、45㎝(ひざの高さ)では流れに押される感覚を味わいました。

次に、流れに逆らって歩いてみたところ、先ほど以上に水の抵抗を受けて、足が重く感じます。特に水深45㎝ゾーンは、おなかに力を入れて歩く必要がありました。

そのまま流速を1m/秒に上げると状況は一変。水深15㎝の時点で歩きにくく、30㎝以上では足を高く上げると、バランスを崩しそうになります。すり足気味に進んでゴールを目指しました。

水から上がって、一息ついていると「流れに逆らう方が体力は必要ですが、より危険なのは流れに沿って歩く場合です」と伊東さんからアドバイスが。ちょっと意外に思いましたが、後ろから押されると踏ん張りがききにくい上、浮遊物が流れてきても気が付かないと聞いて納得しました。

そもそも、体験の水は透明で、段差部分には黄色い目印が付いていますが、これが泥水で足元が見えなかったら…気づかぬうちに深みにはまったり、危険物にぶつかったりするかもしれません。

館内照明を消し、暗い中での歩行も体験しましたが、見えない怖さは想像以上でした。

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次は風雨災害体験です。ここでは暴風と豪雨の威力を段階的に味わえます。最大出力の風速30m/秒&降水量150㎜/時は、家屋の倒壊や大規模災害が発生するレベル…やや不安を覚えながらも、いざ入室です!

風速10m/秒(予報用語でいう、やや強い風)までは余裕の構えでしたが、20m/秒(非常に強い風)を超えたあたりから、伊東さんのマイクアナウンスが聞こえなくなり、安全バーを握る手にも力が入ります。

マックス30m/秒(猛烈な風)になり、雨も同時に降り出すと、前かがみの姿勢で耐えるだけの状態に。全身に雨粒がバチバチと当たり、ゴーグルをしていても思わず目をつぶってしまいます。何より驚いたのは、あまりの風圧と雨量で息が苦しくなったことでした。

「風速30m/秒は、高速道路を時速108kmで走るのと同じ風圧ですからね。実際には、風にあおられてさまざまな物が飛んでくるので、さらに危険な状態になります。強風時には外出を控えてください」(伊東さん)

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伊東さんは「災害から身を守る上で、何より大切なのは早めの避難。自治体からの指示には、速やかに従ってほしい」と強調し、冠水した道を歩く際のポイントを教えてくれました。

冠水した道を歩くときは…
▶けがをしないように長袖・長ズボンを着用
▶足元は、脱げやすいサンダルや長靴ではなく、スニーカーで
▶荷物はリュックに詰めて両手を空ける
▶深みや危険物を回避するため、杖や傘で周囲の地面を突きながら歩く
▶流れに沿って進む場合は、後方からの浮遊物に注意

一方、最近のゲリラ豪雨はあっという間に被害が拡大し、逃げ遅れることも考えられます。「夜間も含めて、外に出るのが危険と判断される場合は、上階へ逃げる『垂直避難』も検討してください」。玄関には浸水を防ぐために土のうを置きたいところですが、備えがない場合は、ごみ袋などに水を入れて並べるだけでも、急場しのぎにはなるといいます。

近年の被害報道から「風水害は怖い」と思っていましたが、「見る」と「する」では大違い。疑似体験を通して、防災意識が一層高まりました。

四季防災館では、誰でも災害体験が可能です。夜間の災害発生を想定した「ナイトツアー」なども企画されていますので、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。

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【富山県広域消防防災センター「四季防災館」】
住 所:富山市惣在寺1090-1
時 間:9:00〜17:00(体験受付は16:30まで)
入館料:無料
休館日:毎週月曜、年末年始、その他
※コロナ対策のため、一般の方の豪雨体験は休止しています(2022年8月現在。暴風体験は可能)
※各体験コーナーには年齢制限があります。詳しくは公式HPで確認してください。

(まいどなニュース/コノコト)