宿泊施設の浴場で湯船につかりながら顔だけを出して客を物色する手口から「ワニ男」と呼ばれていた窃盗犯が9月に逮捕された。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は当サイトの取材に対し、こうした窃盗犯の手口や旅先で被害を未然に防ぐ対策を解説した。

 兵庫県警捜査3課などは宿泊施設の利用客を装って浴場に入り財布などを盗んだとして、窃盗や住居侵入の疑いで大阪市東住吉区の自営業小谷進一容疑者(53)を逮捕、送検した。兵庫県や京都府、岡山県など12府県で、宿泊施設の浴場の脱衣所に置いてあった客の財布を盗んだり、ロッカーをこじあけて持ち出した鍵で客室に侵入したりして現金を盗むなどした疑い。同課などは23件、計約150万円相当の窃盗被害を裏付けた。

 同容疑者は、湯船につかって顔の上半分だけを出し、じっと待ちながら客の様子をうかがう姿から捜査員に「ワニ男」と呼ばれていた。観光や温泉巡りが趣味で、各地を旅行しながら盗みを働いていたという。

 小川氏は「こういった各地を移動しながら犯行に及ぶ手口の犯罪を『旅行犯』といいます。実際に旅行をしながら泥棒をしていくということなのですが、ホテルと違って、旅館は大浴場等の脱衣場に行ってもロッカーがなく、服だけを入れるカゴだけのところもある。また、鍵もホテルならカードキーで部屋番号も書いていませんが、旅館だと棒状のものに部屋番号が記されている。利用客はふだんより長く入浴するので、その間に鍵を盗んで部屋を物色し、泥棒をしていく」と説明した。

 さらに、同氏は「こういう犯罪は実は多いのです。私は現職中、全国にある24か所の競艇場を巡りながら泥棒をしていた旅行犯を捕まえたことがある」と振り返った。

 旅先での防犯対策として、小川氏は「旅館の部屋に金庫もあるが、簡易金庫なのでプロにかかれば数分で開いてしまう。それを考えれば、貴重品はフロントに預けること。また、お風呂に行く時には、部屋の鍵もフロントに預けてください」と呼びかけた。