スーパー銭湯の脱衣所にあるロッカー内からクレジットカードを盗み、不正に使った疑いで窃盗グループが逮捕された。容疑者が管理していた貸倉庫からは合いカギを複製する機械と500本以上のカギが見つかったという。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は当サイトの取材に対し、こうした窃盗事件の手口と共に、防犯対策を解説した。

 10月に脱衣所のロッカーを合いカギで開けてクレジットカードを盗んだ容疑で都内に住む49歳の男が警視庁に逮捕された。さらに、その男が借りていた倉庫から500本以上の合いカギが見つかり、共犯関係にある都内在住の54歳の男と、埼玉県在住で中国籍の47歳の女と共に窃盗と詐欺の疑いで再逮捕された。3人は今年3月、横浜市内のスーパー銭湯で、女性用の脱衣所のロッカーから2枚のクレジットカードを盗み、コンビニエンスストアで約5万5000円分の商品を購入した疑い。警視庁は常習化した犯行により、総額1億円以上の被害があるとみて余罪を調べている。

 小川氏は「スーパー銭湯のロッカーのカギは比較的安易に複製しやすい傾向にある。また、女湯は防犯カメラが設置されていない上に、女性の方が一般的に利用時間も長いために狙われやすい。さらに、銭湯では他人のロッカーを明けても周りから怪しまれることが少なく、カギ付きロッカーだから安心だという思い込みがある。カード1枚だけを財布から抜き取られても、銭湯を出る時にいちいち財布の中を確認しないので盗難に気づかない」と、被害者の立場から今回の事件のポイントを列挙した。

 今回の事件に限らず、こうした窃盗グループについて、小川氏は「細かく役割分担しての犯行です。見張り役、カードを盗む役、運転手、カギを複製する役、カードを利用して買い物する役、売りさばいて換金する役がいる。カードは暗証番号が不要なタッチ決算をするため、家電など換金しやすいものを狙う。また、ロッカーを開けてカードを盗んだ後、その盗まれた人が入浴している間にカードを使ってから、再び財布の中に戻す手口もある。現場の様子を確認しているために共犯者が複数いるということになる」と分析した。

持ち込むのは、必要最低限のお金だけに

 スーパー銭湯では飲食することもあるが、そこも窃盗グループの狙いなのだという。

 小川氏は「普通の銭湯なら、小銭だけしかもって行かない人もいるが、スーパー銭湯の場合は、食事をしたり、マッサージをしたりして2−3時間過ごす人が普通にいる。しかも、犯人側は、スーパー銭湯の近くで暗証番号を使わなくても利用できる店舗を、あらかじめ把握し、使用している。スーパー銭湯でお金をたくさん持って行きがちだが、家族では1万円札1枚だけにするとか、必要最低限のお金にしていただきたい」と説明した。

 その上で、小川氏は「スーパー銭湯などに行く時は貴重品を持っていかないこと。フロントに預かってもらうこと。クレジットカードの番号を控えておき、盗難に遭ったらすぐ止められるようにしておくこと。紛失時の連絡先も控えておく必要がある。また、毎月、カードの明細をしっかり見ること。ペーパーレスの時代で、請求書が紙で送られてこないカード会社が多いが、明細だけは確認してもらいたい」と事前の備えの必要性を説いた。

 小川氏は「盗難被害に遭わないためには、フロントの目の届く場所に設置されている貴重品ロッカーを使用すること。暗証番号で開閉するタイプのロッカーは窃盗する者が近くにカメラを設置して盗み見していた事例もあった。番号を入力する際には手で隠すなどしてください」と呼びかけた。