地域猫活動(TNR)のため堕胎する予定だった猫が出産。5匹の子猫は保護主さんのもとですくすく育ち、無事譲渡できた。しかし、1年後、里親さんが猫アレルギーを発症したため、3匹の猫が保護主さんのところに戻ってきた。

産まれそうなんです

2015年5月、静岡県に住む植松さんが当時所属していた猫の保護団体にひとりの男性から相談があった。茶トラの野良猫ともう1匹の野良猫にエサをあげていたが、茶トラの猫が妊娠しているようだというのだ。2日後、男性は2匹の猫を連れてきた。

いまにも生まれそうな感じだったが、その団体には百匹を超す猫がいたので、もし子猫が産まれても受け入れられない状況だった。あまりにも猫が多いと、そこで出産するのは母猫にとってストレスになる。多頭飼いなので病気が蔓延していて、無事に産まれたとしても里親を積極的に探すことはなかった。

母猫は植松さんが引き取った。通常、野良猫の場合、お腹が大きくても堕胎して不妊手術をする。植松さんは動物病院の予約をしたが、手術の予定日より前に子猫たちが産まれてしまった。全部で5匹産まれ、元気に育った。植松さんのところにも猫がいたので、譲渡サイトで里親さんを募集した。 

里親さんが猫アレルギーに

あまりにも小さいうちに母猫と離すのはかわいそうなので、生後4カ月まではみんな一緒に暮らした。9月頃、5匹とも里親さんが決まって無事譲渡できた。母猫の里親さんも決まり、植松さんはほっとした。

しかし1年後、子猫だった陸くんと海くん、天ちゃんが植松さんのところに戻ってきた。里親さんの奥さんの猫アレルギーがひどくて、飼えなくなったのだ。親戚や知り合いに譲渡できないか聞いてもらったが、引き取り手はみつからなかった。

「最初は、人とは別の部屋で猫を飼うなどして病院にも通われたのですが、どうしても猫アレルギーがひどくて、一緒に暮らせないと言われたのです。もともとアレルギー体質だったそうですが、そこまで猫アレルギーがひどくなるとは思われなかったようです」

植松さんは、いまも猫の譲渡をすることがあるが、アレルギーがないかどうか確認するようにしているという。

天ちゃんは植松さんの知り合いがもらってくれて、陸くん、海くんは植松さんが引き取った。

いつの間にか我が子のようになった2匹

陸くん、海くん、天ちゃんを返す時、里親さんは、「本当に申し訳ない、お別れが悲しい」と泣いていたそうだ。

「戻ってきた2匹を見て、里親さんのところで可愛がられたんだろうなということは分かりました。うちに来ても全然平気で、人懐っこく、性格が良かったんです。叩かれたり、いじめられたりすると、人を見るとびくびくするなど怖がるようになるんです。野良猫でも、人間に追い払われたり、大きな物音を立てられたりした猫は、すごく臆病なんです。でも、陸と海は、そういうことがまったくなかった。逃げる気配もなく、丸々太っていました。それなりに可愛がられていたと思います」

いま、陸くん、海くんは、植松さんのところでのびのび暮らしている。大人の猫になってしまったので、里親さんを見つけるのは難しい。

「可愛いのは可愛くて、4年もうちにいるので里親さんを探そうかどうしようか迷っています。よほど気心の知れた人でないと渡す気になれません」

2匹一緒に爪とぎの中にいたり、仲良くじゃれあったりしているのを見ていると、とても譲渡する気にはなれないと植松さんは感じている。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)