大量の水を大きなヒレでプールから送り出し、豪快に雪かきのお手伝いするセイウチさんの動画が話題になりました。プール横の陸場の雪は、飼育員さんが雪をかく間もなくザバン!ザバン!とあっという間に流されていきます。動画はおたる水族館(@otaruaquarium)が「おたる水族館式雪かき。Snow removal !」と1月3日にツイートしたもので、14万を超えるいいね!と4.7万を超えるリツイート、275.8万越えの再生回数になっています。

 リプ欄には「めっちゃ協力するやんw」「水で流してくれてるのはありがたいけど凍えそう:( ;´꒳`;):」「水で雪が溶けるのは理解出来ているのか、、、」「お手伝いがかわいいっての」「雪かかんでも間に合っちゃうな」と、迫力満点の雪かきに驚きながらも感心する声が集まっています。「おたる水族館」(北海道小樽市)の専属獣医さんに聞きました。

 ──雪かきが効率よすぎですが、セイウチさんたちは手伝っているつもりなんでしょうか?

 ときどきおこなう「遊び」としてとらえていると思います。この前肢で水をかく行動は、セイウチが泳ぐときに前肢をつかうことをお客様に伝えるためにトレーニングしたもので、夏期はパフォーマンスのひとつとして見ていただいています。それを除雪に応用したのが動画の雪かきです。セイウチは好奇心が旺盛なので、毎日同じことをしていると単調な生活になり、ストレスがたまります。雪かきをするために水を飛ばす行動が日常に変化をもたらしてよい刺激になるのです。

 ──ということは、雪かきのあとはごほうびをもらっているんですね?

 ごほうびの魚をもらっています。基本的にどんなパフォーマンスでも、おこなったあとはごほうびをあげます。

 ──雪かきの時はいつもお手伝いをしているのですか?

 そうですね、雪かきの必要があるときはいつも協力してもらっています。セイウチの遊びと、我々の足もとの安全確保で一石二鳥になっています。

 ──水をかけたあとは凍ってしまいませんか?

 セイウチの移動にともないプールの海水が波のように陸場にかかりますので、凍ることはまずありません。雪が残っている方が氷化しやすく、飼育員が転倒する危険があるので雪かきをしています。

 ──雪かきする飼育員さんが寒そう…という声が多くありましたが、実際どうなのでしょうか?

 防水性の作業服を着用しているので、水はかかりますが、ほとんど濡れません。風邪はひかないと思います。

 ──この豪快な雪かきの様子は、水族館で見ることができるのでしょうか?

 残念ながらご覧いただけません。冬期は水族館本館と別館イルカスタジアムは営業していますが、セイウチがいる海獣公園のエリアは大雪で危険なため閉鎖しています。

 ──動画で雪かきのお手伝いをしているセイウチさんのことを教えてください

 ウチオは30のオス、ウーリャは28歳のメスです。1〜2歳くらいの小さいときに水族館にやってきたことと、セイウチは好奇心が強いことから人にも早く慣れました。ウチオとウーリャには、2016年生まれの3歳の娘「しずく」がいます。冬期営業中(2月24日まで)はイルカスタジアムでしずくのパフォーマンスをご覧いただけますが、冬期営業後は繁殖のため千葉県の鴨川シーワールドに嫁入りすることになっています。セイウチは国内で25頭しか飼育されておらず、次世代へ命をつないでいかなければ途絶えてしまいます。

 ──そうなんですね! セイウチさんは頭がいいのでしょうか?

 こちらから伝える合図は身振り手振りだけでなく、約30種類くらいの言葉も識別します。言葉を先読みして、最初の1語を言っただけで行動することもあります。人の顔も見分けていて、私は20年前にウチオに治療のために注射をしたことがありますが、それ以来ずっと嫌われています(泣)。ほかの飼育員とはとても良好な関係なのですが、私にだけ態度が違います。彼らは一度記憶したらまず忘れません。

 ──20年も前のこと覚えてるんですか! すごい。でも、ちょっと切ないですね。

 それからセイウチはオスの方がメスより大きく体重は2倍近くあります。当館のウチオとウーリャだけかもしれませんが、メスの方が圧倒的に気が強いです。特に出産後は、子どもに授乳するときはオスを近づけません。

 ──なるほど(笑)体は小さくてもメスが強いんですね。牙はオスだけにあるものなんですか?

 牙はメスにもあります。ウーリャは若いときに歯髄炎にかかり、全身麻酔下で抜歯しました。

 ──そうでしたか。セイウチさんはもしゃもしゃの髭もかわいいです

 髭は、正式には洞毛(どうもう)というのですが、ほかのアザラシやアシカ同様にえさを探すセンサーの役割があります。テニスラケットのガットくらいのかたさですので、結構かたいですよ。

 ──おたる水族館の魅力も教えてください。

 秋限定のトドのパフォーマンス「鮭は飲み物」や4コマ漫画での魚解説パネルなど、さまざまな展示で動物本来の生態や行動をわかりやすく伝える展示を目指しています。現在はジェンツーペンギンが雪の中を自由気ままに歩く姿を間近にご覧いただける「ペンギンの雪中さんぽ」が好評です。

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・太田 浩子)