昨年12月14日、人気映画の「スター・ウォーズ」の最新作が封切られる直前、米ノースカロライナ州で一匹の猫が保護された。

猫の耳は上向きについていることが多いが、この猫の耳はやや横向き。この猫を保護した獣医の助手、ジェイナ・アビレスさんが写真をSNS投稿したところ、「スター・ウォーズ」のドラマシリーズ「ザ・マンダロリアン」のキャラクターであるベイビー・ヨーダに似ているとの声があがった。それをきっかけに、たちまち全世界中にベイビー・ヨーダに似た猫の写真が拡散され、里親になりたいと名乗りをあげる人が殺到した。

里親希望者に対して、アビレスさんはSNSでメッセージを発信した。「ヨーダ・キャットは一匹しかいません。そして彼女に必要な家はひとつだけです。米国だけでも7千万匹の野良猫がいて、毎年、400万匹が動物管理局へ行き、140万匹は家がないために安楽死させられています。どうぞ、あなたのお住まいの地域の動物保護シェルターへ行ってください。あなたの親友となる猫があなたを待っていることでしょう」

ベイビー・ヨーダに似た猫は、ノースカロライナ州の動物保護シェルターが預かっていたが、ある女性が自分の飼っていた猫であると主張。動物保護シェルターは、女性の見せた猫の写真はベイビー・ヨーダに似ていたが、顔の特徴や耳が違うため、動物保護シェルターは引き渡さなかった。

その一方で、この動物保護シェルターは、ベイビー・ヨーダに似た猫の怪我や病気の状態はひどいため、セカンド・オピニオンを求めて、別の獣医院へ連れていった。しかし、その獣医院のスタッフはベイビー・ヨーダを動物保護シェルターに返すことなく、動物管理局へ渡してしまったという。どうやら動物管理局が、飼い主であると主張していた女性に引き渡したようである。

地元紙のシャーロット・オブザーバー電子版は「動物保護シェルターが獣医院のスタッフから聞いた話によると、この獣医はこの猫が世間の注目を集めていることに疲れ、病院から出したいと考えた。だから獣医は飼い主だと主張していた女性に引き渡した」とのこと。

今、動物保護シェルターにベイビー・ヨーダに似た猫はおらず、最初に診察してもらった(セカンド・オピニオンを聞きに行った獣医ではない)獣医への請求書だけが残った。獣医への支払いはクラウドファンディングで調達することになった。

SNSで一躍、人気者になったがために、翻弄されたベイビー・ヨーダ猫。飼い主だと主張した女性が、本当に以前からの飼い主であったかどうかははっきりしないが、怪我と病気を持っているだけに手厚いケアがなされていることを祈る。

キャットクリニック・小宮みぎわ獣医師の話「実際のベビーヨーダキャットちゃんを診ておりませんので、保護されていらっしゃる方々と見解が異なるかもしれませんが…猫は、生まれてすぐの耳は、人間のように目と同じくらいの高さに付いています。それが成長とともに頭の上の方に移動して、周囲の音が良く聞こえるようにパラボラアンテナのような形状になります。ですので、ベビーヨーダキャットちゃんは子猫の頃の、耳の大移動中に何かがあったのかもしれません。よくみると下顎も小さく舌が収まらないですし、歯も無いようなので、発生(受精卵から、赤ちゃんが出来るまでの工程のこと)途中に何かトラブルがあったことによる奇形なのかもしれないと思いました。生活に支障がある奇形が他にも起こっていないのか、少し心配ですね」

(まいどなニュース特約・谷口 輝世子)