健康への関心と手軽に測れる血圧計の普及で、家庭で血圧を測る人が増えています。毎日時間を決めて安定した状態で測定、記録することで健康管理の目安になるだけでなく、病院では把握しにくい「仮面高血圧」や「白衣高血圧」を診断する際の貴重な判断材料にもなります。だから、家庭で血圧を測ることはとても大切です。

「仮面高血圧」ご存知ですか?

 家庭で血圧を測っていて高い数値が出たため、病院などを訪れて医師に測定してもらうと「正常血圧」と診断される場合があります。家庭で測ると血圧が非常に高いのに、病院などで測ってもらうと正常数値になるため見過ごされやすいのが「仮面高血圧」です。通常の診断などでは見つかりにくい高血圧症をさしています。

 多いのは、仕事や人間関係でストレスが高まって高血圧となり、病院ではストレスから解放されて正常値になる「職場高血圧(「ストレス下高血圧」)」です。これは「仮面高血圧」の一つです。

 最近では、新型コロナウイルスによる感染症の拡大に伴う自粛生活のストレスなどから、この病気になる人も急増しています。 他に、早朝に急激に血圧が上昇する「早朝高血圧」や、昼間より夜間の血圧が高い「夜間高血圧」も仮面高血圧の一種です。

原因と対策は?

 仮面高血圧には、さまざまな原因が考えられます。

(1)強いストレスがある
(2)塩分の取り過ぎ
(3)睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害、糖尿病などの持病がある
(4)心臓や腎臓などに障害がある
(5)タバコをよく吸う

 高血圧自体は自覚症状がないので油断しがちです。しかし、放っておけば動脈硬化につながり、脳梗塞などの脳血管障害、心筋梗塞などの心疾患などと結びつきます。気になれば、専門医に早めに診てもらうことです。

 対策としては、ストレスをできるだけためないようにしたいものです。また、食生活では減塩を心がけ、飲酒は適度な量でとどめ、タバコもできる限り控えたいですね。そして、日常の血圧を朝(朝食前)、昼間、就寝前など数回に分けて毎日定期的に測定しておけば、数値などの変化で体の異変に気づきやすくなります。

正反対の「白衣高血圧」

 仮面高血圧と反対に、家では数値が正常なのに、医師などの白衣を見ると緊張して数値が上がるのが「白衣高血圧」です。少しの誤差ではなく、高い数値が出るようならば「白衣高血圧」を疑ってもいいかもしれません。

 なぜ、起こるのでしょうか。例えば、子ども時代から病院が苦手。「いやだな」と思いつつ、緊張しながら診察を受けた、という人に多いようです。あるいは、医療機関という場所柄、待っている間に病気のことをあれやこれやと考えて不安や極度の緊張状態に陥るため、血圧も上昇しやすくなるのかもしれません。

 白衣高血圧といっても血圧が上昇していることには間違いないので、しっかりと医師の診断を受けてください。

◆尾原 徹司 東京医科大学卒業。東京女子医科大学消化器病センターを経て、神戸鐘紡病院消化器科に赴任。昭和57(1982)年に独立し、医療法人社団つかさ会「尾原病院」(神戸市須磨区妙法寺荒打/神戸市営地下鉄西神山手線妙法寺駅徒歩3分)院長に。