コロナ禍において、夫婦の仲が悪くなったり、不倫相手と会えなくなったりと、男女間におけるトラブルを見聞きすることがあります。私の知り合いであるA子も、コロナ禍の最中に夫の不倫が発覚した1人です。そのまま離婚になるかと思いきや、結末は意外なものになりました。

A子夫婦はもとからあまり仲が良くありません。結婚して15年ほど経ちますが、子どもが大きくなるにつれ夫婦の会話は減っていきます。また、夫はモラハラ気質であり、A子が話しかけても「うるせえ」とか「近寄ってくんな」など、平気で暴言を吐くような人でした。

しかし、ある日のこと、夫のスマホが光っているのが見えました。無防備にもダイニングテーブルに置かれたスマホには、LINEが次々入ります。そしてそこには

「コロナのせいで会えなくてさみしい」

「今度会う時はずっと一緒にいようね」

といった、どう見ても浮気をしたであろう内容が書かれていたのです。

「ああ、うちの夫は浮気をしていたのか」

不倫を知ったA子でしたが、夫婦関係がすっかり冷めきっていたせいもあり、その事実を冷静に受け止めたといいます。そしてA子が考えたのが

「慰謝料をもらって離婚準備をしなくては」

という落ち着いた判断でした。

それからA子は夫に久しぶりに話しかけました。

「ねえ、浮気しているんでしょ。離婚して慰謝料を払って」

その時の夫の顔が青ざめていく様子を、A子は一生忘れないと言います。ダイニングテーブルで無防備に光るスマホを見た夫は、一切の反論もできないことを悟り、「ちょっと考えさせてくれ」と一言つぶやいたそうです。

実はA子はこのとき、慰謝料を払うのは自分の夫だけだと勘違いしていました。本当なら不倫相手にも慰謝料請求ができるのですが、夫にモラハラを受けていたA子は、夫だけに慰謝料を請求し、夫に苦労させてから離婚しようと考えていたのです。

しかし、事態は思わぬ方向へ進みます。その数日後、家に夫の不倫相手だというB子からいきなり電話がかかってきたのです。そこで言われたのは意外な一言でした。

「この度は迷惑をかけて申し訳ありませんでした。慰謝料を払うので、このことは一切、口外しないでいただけますか?」

状況が飲み込めないA子は聞きます。

「一切口外しないというのは今回の不倫のことに関してでしょうか」

「はい、お約束いただけるのであれば、慰謝料は300万円お支払いします」

その金額を聞いてA子は腰を抜かしそうになったといいます。自分の夫からとれる慰謝料はせいぜい100万円だろうと思っていたのですが、その不倫相手からは思ってもみなかった金額を提示されたのです。

なぜこちらから慰謝料請求をしてもいないのに、それほど高額な慰謝料がもらえるのか。それには次のような理由がありました。

実は不倫相手であるB子も既婚者でした。B子の夫は会社を経営しており、とても高収入だそうです。しかし B子の夫も不倫をしており、離婚話が進んでいる最中でした。このまま離婚話が進めばB子には多額の慰謝料や生活費が振り込まれる予定でした。

しかし、不倫されたB子は悔しくなり、寂しそうなA子の夫と関係を持ったと言います。自分の不倫は棚に上げ、夫の不倫だけを追求し、慰謝料や生活費をたんまりともらう計画だったのです。

そんな矢先、自分の不倫をA子に知られてしまいます。この事実が夫に知られたら、予想されていた慰謝料や生活費はもらえなくなってしまいます。それならば、 あらかじめA子に慰謝料という名の口止め料を支払い、不倫の事実を忘れてもらおうという筋書でした。

A子は悩みました。しかし、結局はB子の要求に従い、不倫の事実を口外することなく、300万円という慰謝料をもらうことにしたのです。それには、夫に対する当てつけもあったと言います。

その後、300万円という慰謝料をもらったA子は、夫と離婚することなく今でもひとつ屋根の下で暮らしています。夫から慰謝料をもらうことは諦めたものの、夫とB子は別れ、自分には思いがけず300万円という大金が入ったので、気持ち的には優位になったと話しています。

夫との関係は相変わらずですが、不倫をしてB子から捨てられた夫はだいぶ丸くなり、A子に対しても、モラハラな発言はなくなったそうです。今回のことで思いがけない大金を得たA子。決して幸せなお金が手に入ったとは言えませんが、友人としては今後夫婦関係が改善されることを願うばかりです。

(まいどなニュース特約・島田 志麻)