コロナ禍で一躍クローズアップされた「アマビエ」。江戸時代の瓦版に掲載された半人半魚の妖怪である。妖怪といえば、漫画家の水木しげるさんの存在が思い浮かぶが、東京都調布市は名誉市民でもある水木さんのアマビエ画像を「WEB会議などの背景画像」として5月から提供を始めた。同市のホームページ(HP)からダウンロードでき、テレワークのお供として好評だという。

 アマビエは「病がはやったら私の写し絵を人々に見せよ」と告げて海に消えたとの言い伝えがある。そのため、コロナ禍の中、終息への願いを込めて3月頃から、江戸時代に瓦版で描かれた姿を現代風にアレンジした絵をSNSに投稿する人が相次いでいる。

 同市のHPに掲載された水木さん作のアマビエは、長い髪に鳥のようなくちばしがあり、うろこに覆われた胴体がキラキラした光に包まれている。

 同市生活文化スポーツ部産業振興課の担当者は当サイトの取材に対し 「水木プロダクション様から提供を受けたもので,『水木しげるの続・妖怪辞典』(東京堂出版、1984年発行)用に描かれたものとうかがっております」と出典を明かした。ツイッターでも紹介され、「水木しげる先生の神秘力、画力、凄いねー!惚れるねー!」などと好評だ。

 担当者は水木さんとの縁を説明した。「調布市は水木しげるさんが50年以上暮らした『水木マンガの生まれた街』です。水木さんには市の庁用封筒のイラストや図書館だよりの表紙絵を描き下ろしていただくなど、様々な形で市の施策に貢献をしていただきました。また、鬼太郎と仲間たちが描かれたミニバスや自転車駐車場のほか、天神通り商店街の『ゲゲゲの鬼太郎』のモニュメントなどは、多くの市民に親しまれています」

 そうした経緯を踏まえ、3月中旬、水木プロダクションが公式ツイッターでアマビエの画像を公開した際、同市から「コロナウイルス感染症拡大防止のため、WEB会議などの背景として利用できるように、市のHPでアマビエの画像を提供したい」と打診をして実現したという。

  水木さんは2015年11月30日に亡くなった。同市では命日を「ゲゲゲ忌」と命名し、翌16年から様々なイベントを開催している。調布市には深大寺の鬼太郎茶屋など水木さんゆかりのスポットが数多くある。アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」(第6期)で調布市の登場シーンをまとめた「調布市×ゲゲゲの鬼太郎(第6期)聖地巡礼マップ」発行などの取り組みも続ける。19年5月には、水木作品のオブジェや遊具を設置した「鬼太郎ひろば」が同市初のクラウドファンディングを活用して開園した。

 「水木マンガの生まれた街」が発信するアマビエ画像。担当者は「テレワークなどを行う際にぜひご利用ください」と呼びかけている。緊急事態宣言は全都道府県で解除されたが、コロナと共存する日常はこの先も続く。緊張のゆるみに起因する第2波も危惧されており、アマビエは引き続き、その存在感を発揮していきそうだ。

(まいどなニュース/デイリースポーツ・北村 泰介)