「タガヤセキュウシュウ」というユーチューバーをご存じでしょうか。日本初の国家公務員ユーチューバーとして、九州の農林水産業をPRするべく今年1月にデビューしたばかりですが、たまたまこの動画を目にした鈴木健太さん(@suzukikenta)がツイッターで紹介したところ、14万以上のいいねがつき、大きな話題となりました。

鈴木さんのツイートを見てみると、動画は「冬のボーナスでギラファノコギリクワガタを購入しました」という白石くんと、「逆上がりが出来ないまま26歳になってしまいました」というノダさんの自己紹介からスタート。

その後も思いっきりカミ倒す場面を編集せずあえて使ったり、先輩後輩関係なく字幕で容赦なくツッコんだりと、国家公務員とは思えない白石くんとノダさんの個性と笑いが詰め込まれた内容に、「エリートがコレとか最高です」「秒でチャンネル登録しました」「めちゃくちゃ笑いましたなにこれwww」とハマる人が続出しています。

クリエイティブディレクターや映像作家として、CMやミュージックビデオを作ったり「アバンティーズ」など数多くのYouTubeチャンネルプロデュースをおこなう鈴木さんの目から見ても、「タガヤセキュウシュウ」の動画を初めて見た時は衝撃だったそうです。

──動画を初めて見たときはいかがでしたか?

「国家公務員YouTuber」という新しさに衝撃と感動したと共に、登場する皆さんの農林水産業に対する愛や実直さがにじみ出ていますし、普段僕たちでは知ることのできない省庁の中で働く人についてもとても理解が深まりました。

──面白かった話やツボった瞬間などありますか?

最初の挨拶の「ボーナスでギラファノコギリクワガタを購入した」というところと、カミすぎたり、途中の打ち合わせもしっかりと動画内で採用しているところです。

──この動画は本人たちが撮影から編集まですべてやっているそうですが、プロの目から見たこの動画の完成度は何点ですか?

120点です。プロの仕事かと思いました(笑)。

フォントやテロップの付け方や、全体的に絶妙に「ダサい」感じなどが、このチャンネルの親近感や良さを作っていると思います。これは真似しようとしてもなかなかできるものではありません。なので今後の動向もチェックしていきたいです!

と、プロの目から見ても素晴らしい動画に仕上がっていると鈴木さんは絶賛です。

そこで、今現在も農林水産省・九州農政局の職員として勤務するタガヤセキュウシュウの白石さんにお話をうかがいました。

──普段の業務を教えてください。

簡単に言うと「現場と農林水産省をつなぎ、ともに解決する」仕事をしています。具体的には、農業者の方々との意見交換を通して情報収集をし、それを担当課に共有しています。政策や業務に活かせるよう、現場の声をしっかり汲み上げることに励んでいます。またこちらから農家の方々へ情報提供をしたり、農家の方々の相談窓口となって、一緒に問題解決していったりしています。

──そもそも何でユーチューバーになろうと思ったんですか?

僕は、休日は一日中ユーチューブを見て過ごすこともあるくらいユーチューブが好きなのですが、ある日「BUZZMAFF(バズマフ)」という、日本の農林水産業をPRし農林水産省の仕事を身近に感じていただく事を目的とした大臣発案のプロジェクトが立ち上がり、農林水産省の全職員対象に参加者を募る募集があったので、迷いなく応募しました。
野田さんももともと映像制作に興味があったのと、一緒に仕事をしているうちにそのキャラの面白さに気づき、応募が始まった日にラーメン屋で話をして誘いました(笑)。

──それにしても、現役の国家公務員という事でてっきり真面目な内容なのかと思いきや、ノダさんだけでなく農林水産大臣までもイジったり、随所に笑いの要素が入っていて、見ている側としてはめちゃくちゃ面白かったのですが、正直よく上の方からOK出ましたね。

取り組みの趣旨の一つに「職員の個性を活かした発信をし、上司は内容については口出ししないように」ということも盛り込まれていたので自由にやらせていただいています(笑)。
視聴者を1秒でも飽きさせたくないので、なるべく笑いどころや要点を押さえた2〜3分の動画になるよう心掛けています。

──なるほど! だからあれだけ面白い動画が作れるのですね。ちなみに動画の見どころは?

真面目な公務員がなんか笑わせようと必死にやってんな〜と少し冷静な目で見てもらうと味がでるのかな。。。と思っています。
私たちは見せ方のプロではないので、「うまい」動画を作ろうとしてもプロのユーチューバーや芸能人には敵いません。だから、アクシデントシーンや、カンだシーンもあえてそのまま見せるようにしています。

──いやいや、効果音や字幕の入れ方とか構成など、ほかのユーチューバーと比べても全然遜色ないですが、もともと動画制作などはされていたんですか?

いえいえ、全然経験はありませんでした。職場のパソコンで動画編集をしていますが、いまだに使いこなせておらず、しょっちゅう「こんなことまでできるんだー」と最新技術に驚かされてばかりいます。

──ちなみに動画はいつ作られているのですか?

「BUZZMAFF」は広報活動ということで公務として認められているので、業務時間内に作っています。

──通常業務と並行してやるとなるとかなり大変ですね。

はい。本来業務の合間を縫って動画の撮影や編集をすることになるので、時間の配分が難しく、やり始めた当初は編集だけで数日かかっていましたが、周りの職員の協力もあってなんとか取り組めています。
また動画の台本を作る際には、間違った情報を伝えないために担当の部署などと何度も打ち合わせをします。その点も大変というか、忙しくなる時はありますね。

──この活動をしていて良かった点は何ですか?

良かったことは、家族や友人から応援してもらえることです。新聞やテレビに取り上げていただいた時には、祖母と祖父は大喜びで見てくれています。
反響をいただくなかで一番うれしかったのは、花いっぱいプロジェクトの動画のあとに、花農家さんから「花業界の現状を伝えてくれてありがとう。お客さんが増えたよ」と御礼のメッセージをもらったことです。農林水産省の職員として、現場の農家さんに感謝していただくことが一番の喜びです。

──今「タガヤセキュウシュウ」がものすごく話題になっていますね。

予想以上の反響に驚いています。これからはさらに自覚を持って、行政としての情報発信のあり方を考えていきたいと思います。

──今後やってみたい企画は?

チーム名が「タガヤセキュウシュウ」なので、新型コロナが落ち着いたら、県外出張に出て九州各地で撮影をしたいです。

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・宮崎 優子)