あっという間に夏も終盤になり、もうすぐ台風シーズンです。日頃から非常食は備蓄されていると思いますが、トイレの備えは大丈夫でしょうか。災害が起きたら、電気もガスも水も止まってしまいます。そのような時、食事と同じように排泄も欠かせないことですが、どのようにトイレ対策をしておけばいいのでしょうか。NPO法人・日本トイレ研究所の代表 加藤篤さんに聞くと、3つのポイントがあるようです。お話を聞きました。

(1)自宅のトイレで排泄できるよう備えることが大事

災害時、水が出なくなり、排水もできず、いつも通りにトイレを使うことはできません。しかし、自宅のトイレに携帯トイレを取りつければ排泄することができます。加藤さんによれば、自宅のトイレで排泄できるよう備えておくことが大切といいます。

「排泄は自律神経がつかさどっていて、リラックスしている時、つまり副交感神経が優位だと安心して、気持ちよくできます。安心の基準は人によって違いますが、少なくともトイレは安心できる場所でなければなりません。排泄は習慣化されているので、それを変えることはなかなかできません。自宅のトイレは使い慣れていて、最も安心できる場所なのです」

また、我慢をすると体調を崩すことにつながるので、トイレの備えは万全を期す必要があるそうです。

「トイレが安心できない場所、たとえば屋外だったり、避難所のトイレだったりすると、トイレが混んでいたり、並ばないといけないこともあります。すると、人はトイレに行くのを我慢してしまいがちです。できるだけトイレに行かなくて済むように、水分を摂るのを控えてしまうことで脱水症になり、身体を壊してしまうのです。衛生状態が悪化して感染症にでもなったら、それこそ大変です」

「1日に食事は3回しませんが、トイレは5回以上行くと思います。災害時は、片付けやこれからの生活のことなどやるべきことが沢山あるので、トイレのことで悩んでいる場合ではありません。生活の立て直しに注力できるよう、トイレはノーストレスで使えるよう、災害時備えは万全を期す必要があります」

(2)携帯トイレを使うコツ

「人は(災害が起こると)特別な方法を考えがち」と加藤さんは言います。普段やったことのないような特殊な方法でやろうとするのですが、排泄は超日常。いかに普段通りトイレができるのか、安心して排泄できるのかということが重要で、いつも便器に座って排泄する人は、便器に座ってできる方法を考えたほうがいいそうです。

「携帯トイレは、便器に取りつけやすいものを使ったほうがいい。ビニール袋ならなんでもいいだろうという意見もありますが、便器は意外と大きいのです。袋が便器をすっぽり覆えなかった場合、毎回ビニール袋を片手で押さえてしなければならないなど、とても使いづらくなってしまいます。災害後は断水しているので、もしトイレが汚れたら、簡単にはそうじできません。最悪の状態です」と、加藤さん。

携帯トイレは、使いやすいものを選びます。停電していることが想定されるので、真っ暗かもしれず、ヘッドライトの灯りだけを頼りにしなければならないかもしれません。できるだけ手順が少なくて簡単なものを選びます。

 (3)携帯トイレはどのくらい必要?

携帯トイレは、少なくとも一週間分備蓄しておきましょう。

4人家族の場合、4人×5回(1日あたりのトイレ回数)×7日間(備蓄日数)

トイレットペーパーも忘れずに備蓄します。トイレットペーパーの1回あたりの使用量は、家庭だと約1m、オフィスの場合約3.1mだというデータがあります。温水洗浄便座が使用できないと考えると、もっとたくさん用意しておく必要があります。

1m(1回あたりの使用量)×4人(家族人数)×5回(1日あたりのトイレ回数)×7日間=140mというように考えます。

その他、携帯トイレはし尿ごみと分かるようにして捨てる、トイレの便器が壊れないよう、日頃からトイレ内の収納には硬いものや重たいものは入れない、トイレを明るく照らすランタンも準備します。トイレ後と食事前の手洗いも大事です。水がない場合は、アルコール手指消毒液やウエットティッシュなどを利用して必ず行います。

災害時に欠かせないトイレ。できるだけいつもと同じように使えるよう備える必要があります。

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◆加藤篤 特定非営利活動法人日本トイレ研究所代表理事。まちづくりのシンクタンクを経て、現職。災害時のトイレ・衛生調査の実施、小学校のトイレ空間改善、小学校教諭等を対象にした研修会、トイレやうんちの大切さを伝える出前授業、子どもの排便に詳しい病院リストの作成などを実施。災害時トイレ衛生管理講習会を開催し、人材育成に取り組む。TOILET MAGAZINEを運営。〈委員〉避難所の確保と質の向上に関する検討会・質の向上ワーキンググループ委員(内閣府)、循環のみち下水道賞選定委員(国土交通省)など。(書籍)『うんちはすごい』(株式会社イーストプレス)、『うんちさま』絵本(金の星社)など

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)