「どうして音楽教室からも著作権使用料を取るの?」

「テレビやラジオで楽曲が使われたら使用料はいくら発生するの?」

「カラオケで1回歌われると著作権者に7円入るという噂は本当?」

……などなど、音楽の著作権を管理する一般社団法人「日本音楽著作権協会(JASRAC)」の関係者にこういった素朴な疑問をぶつけながら、著作権の基本的な考え方を学んでいく講座「音楽著作権駆込み小屋」が10月、神戸の老舗ライブハウス「チキンジョージ」で始まった。今後、月1回ペースで開催するという。

講師はJASRACで14年間勤務し、その手腕を買われて毎日放送に入社した“著作権処理のスペシャリスト”として知られる谷奥孝司さん。現在はチキンジョージが今年6月に設立した音楽出版会社「チキンジョージパブリッシャーズ」の社長を務めている。

10月12日夜に開かれたキックオフ企画“第0回”。出席した音楽関係者ら約20人を前に、谷奥さんは「JASRACはとにかく悪者にされがち」とぶっちゃけて笑いを誘いつつ、「でも実は誤解も多いんです」。大切なのは「どこかで曲が使われたら著作権者にきちんとお金が入るというサイクル」といい、「JASRACは著作権を『信託財産』として譲り受け、それを管理することによって発生した著作権使用料を分配する役割を担っています」とJASRACの存在意義を説明した。

谷奥さんは、ある大物アーティストの楽曲カバーを巡るトラブルや、海外で昔のテレビ番組が放送されたことで突然多額のテーマ曲使用料が振り込まれた事例など、著作権に関連する興味深いエピソードを続けざまに紹介。さらに、日本と欧米では著作権の理解に大きな隔たりがあることにも触れ、「音楽教室からお金を取るなんて日本だけだと言われるけど、海外ではむしろ当たり前のこと」と強調した。「飲食店なんて、基本的に音楽は流れていません。流れているのはよっぽどの高級店で、音楽にそれだけの価値があると知っているからです」とした上で、「知的財産に関しては、日本はすごい後進国だと思われている」と指摘した。

会場からの質問には、「テレビやラジオでの楽曲使用料は、曲が流される局や前年度の収入に応じて決まるため、『わからない』と言うしかない」「カラオケで1回歌われると7円入る、というのは都市伝説で、おそらくもう少し少ないはずです。何秒以上や、何小節以上再生されないと使用料が発生しないというのも嘘。1回ちょっとでもかけたらログとして残る仕組みになっています」などと回答。話題はさらに「AIで作られた曲の著作権はどうなるのか」や、イントロが似ている曲、替え歌、DJのサンプリングなどはどう考えるべきなのかなどにも及び、多角的な視点から著作権を掘り下げていった。

次回は11月16日19時から21時。申し込み、問い合わせは、チキンジョージパブリッシャーズまで。

(まいどなニュース・黒川 裕生)