「小学3年生の子の教科書がなかなかレアな状態です」

 関西地方に住む読者からこんな情報が寄せられました。添付された写真を見てびっくり。

 「二〇二〇年に東京で開かれたオリンピックとパラリンピック」

 新型コロナの影響により延期された東京五輪が開催されたことになっています。

訂正ページ、児童が糊付け

 東京書籍の小学校教科書「新しい国語 三下」。読者に実際の教科書を見せてもらうと、元のページの上に教科書とほぼ同じサイズの訂正ページが貼られ、雑誌の折り込み付録のポスターのようです。2学期に入り担任から配付され、児童が授業中に糊付けしたそうです。

 東京五輪開催に関する訂正は次の2カ所です。

(1カ所目)
訂正前「二〇二〇年に東京で開かれたオリンピックとパラリンピック」
訂正後「世界のさまざまな都市で開かれてきた オリンピックとパラリンピック」

(2カ所目)
訂正前「東京で開かれたのは一九六四年以来二度目となり」
訂正後「一九六四年には、東京大会として、日本ではじめてのオリンピックが開さいされました」

 同社が8月、全国の学校長と担当教諭あてに送付した文書によると、訂正の理由は「2020年に東京でオリンピック・パラリンピックが開催されたことを前提とした記述であり、客観的事実と異なるため」。

小3生「こんなこともあるんだ」

 教科書の持ち主、小学3年生の児童にも話を聞きました。

 ――先生はどんな風に説明しましたか?

 「コロナで東京オリンピックが開かれなかったからって。間違ってたから新しいの配ります、って感じでした」

 ――先生から用紙を配られたときはどう思いましたか?

 「そうか、間違ってたんだ…かな」

 教科書に間違いがあったと動揺しているかと思いきや、いたって冷静でした。クラス内でも皆、同様だったそうです。それよりも、訂正後の文章に驚いたと言います。

 「新しい文は『二〇二〇年に東京で開かれる予定だったオリンピックとパラリンピック』になると予想してたら、全然違う文だったから『あ、そう書くんだ』と思った」(児童)

 ――こういった訂正ページが配られるのは初めてですか?

 「3年間で初めてだった。『こんなこともあるんだ』と思った」

教科書出版社の対応は…

 教科書のシステムは、原則として4年ごとに採択替えがあります。2020年に小学校で使用される教科書は、2018年に検定、2019年採択、2020年に使用開始です。

 発行元の東京書籍(東京都北区)の担当者に話を聞きました。

 ――修正済み教科書紙面の作成を決めたのはいつ頃ですか。

 「3月下旬に東京オリンピック・パラリンピックの開催延期が正式に決定された際、令和2年度に使用される弊社発行全教科書の内容を精査いたしました。その結果、小学校用『新しい国語 三下』の当該箇所では、2ページにまたがって数行にわたる教材本文の修正が必要であり、当該単元の指導時期である10月に間に合うように全国のご採用校に修正内容を文書で通知することが必要であるという判断をいたしました」

 その後の流れも聞きました。

 「訂正内容を通知するためには、事前に文部科学省に訂正申請をして承認を得る必要があります。4月からのコロナ禍のため訂正内容の社内検討作業等にやや時間を要しましたが、7月には文部科学省から訂正申請の承認を得ることができました」

 「訂正内容の通知等の方法につきましては、学習する学年や訂正内容及びその範囲の広さに鑑みて、極めて異例のことではありますが、通常の通知文書に加えて、当該教科書を使用する全国の全児童・教師分の修正済紙面を準備・配布することを考え、文部科学省にも相談のうえ、同じく7月にその方法の最終決定をいたしました」

 「8月下旬に、全国の教科書取次書店様のご協力をいただいて当該教科書ご採用校に訂正内容の通知文書と児童・教師配布用修正済紙面が送られ、あわせて当該通知文書は弊社ホームページにも掲載されました」

 こんなところにもコロナの影響が出てしまいましたが、令和3年度の教科書からは訂正済みのものになるそうです。

(まいどなニュース・金井 かおる)