今やダイエット界の寵児とも言える糖質制限。一般的には、白米やパン、パスタ、砂糖といった糖質を多く含む食材を制限する一方で、肉や魚、卵など低糖質かつ高たんぱくな食材を積極的に摂り、筋肉の減少を抑えつつ体重を減らすというものです。

糖質制限で意識するべきは、カロリーよりも糖質の量。たとえばマヨネーズ(全卵型)は100gあたり706kcalと高カロリーですが、糖質はわずか3.6gなので、糖質制限では味方とされている食材です。

しかし、ひと昔前まではダイエット=カロリー制限が主流。体重を減らしたい場合は、結局、どちらの方法が効果が高いのでしょうか?美容・健康のスペシャリスト、プロフェッショナルファスティングマイスターの間所謙治さんに聞きました。

 極度な糖質制限に潜む健康リスク

「結論から言えば、減量だけが目的の場合は糖質制限の方が早く体重が落ちるはずです。ただし、極端な糖質制限ダイエットは後から健康面での反動が来ることを知っておいてもらいたいです」。

その理由は大きく2つ。「炭水化物は体に必要な栄養素」「動物性たんぱく質の過剰摂取は健康リスクを高める」から。

まず、人間の生命維持に欠かせないエネルギー源である三大栄養素(炭水化物・脂質・たんぱく質)には理想の摂取比率があり、炭水化物約60%、脂質約20%、たんぱく質約20%と言われています。

炭水化物の比重が大きいのは、体内のエネルギー源となるブドウ糖を作るために、糖質が欠かせない栄養素だから。極端に摂取が少ないと、低血糖を起こしてフラフラしたり、集中力が保てなくなったりすることがあります。目安としては、ダイエットを意識する場合でも、1日130g程度の糖質は摂取したいところ。

ただし、炭水化物の中でも、白米や小麦といったGI値の高い食材は、急激に血糖値を上げてしまう性質を持っている上、ビタミンやミネラルを含まないことから満腹感が持続しないというデメリットがあります。健康的にダイエットがしたいなら、ビタミン・ミネラル・食物繊維を含む複合炭水化物(玄米や雑穀米、全粒粉パスタ・パンなど)を中心に、必要量の糖質を摂るのがおすすめです。

一方の動物性たんぱく質については、特に肉を過剰に摂取すると肝臓・腎臓に負担がかかります。その理由は、たんぱく質には窒素が含まれていて、代謝の過程でアンモニアが発生するから。

毒性の強いアンモニアは毒性の低い尿素に変換されるのですが、ここでまず肝臓に負担がかかります。さらに、血中に入った尿素はそのままでは尿として排泄できないので腎臓で「ろ過」されますが、それがスムーズに行われなくなると尿酸になり、蓄積されることで通風発症のリスクが高まります。また、悪玉コレステロール値が上がり、動脈硬化などの血管トラブルが急速に進行する危険性も…。

そもそも人の身体は、必要な糖が不足すると筋肉を分解してアミノ酸に作り変え、エネルギーを補充しようとします。その結果、筋肉量が減少してしまうわけなのですが、極端な糖質制限ダイエットでは、それを防ぐために動物性たんぱく質を過剰摂取して筋肉量を落とさないようにしているのです。

肝臓や腎臓は、身体の代謝機能を司る大切な臓器。そこに負担をかける食生活を続けることは、一時は痩せられても、いずれ健康面で反動が来てしまうようです。

気にすべきはGI値

では、カロリー制限の方が健康的に痩せられるのかというと、それもちょっと違うのだとか。間所さんによると、健康的なダイエットにおいて気にすべきは、糖質やカロリーよりもGI値だといいます。

GI値の高い食材中心の食生活は、血中のブドウ糖濃度が過剰になり、その結果、脂肪が溜まりやすくなるのだそう。「GI値が特に高い食品は、砂糖、小麦、白米など。一方で、玄米・もち麦・雑穀米・全粒粉といった食物繊維を含む穀物や果物などが低GI値の食品です。GI値の高い食品を好んで食べている人は、それを低GI食品に置き換えるだけでも脂肪がつきにくい身体に変わっていくはずです」。

その上で、先述の三大栄養素の理想的な摂取比率を守りつつ、全体の摂取量を減らすのが健康的なダイエットのポイント。ただし、何事も過剰は禁物。自分の身体の声に耳を傾けながら無理のない範囲で制限するのが、結局は一番きれいに痩せられる方法のようですね。

(まいどなニュース特約・鶴野 ひろみ)