梅原さんは、幼い頃から、いつか自分で猫を飼いたいと思っていた。大人になり、家を新築して引っ越した4カ月後、友人から「友人が子猫を保護した。飼ってみない?」と、思いがけず声をかけられた。

沼地にいた子猫たち

2020年8月6日18時頃、静岡県に住む関野さんは、家の外で子猫の鳴き声がするのに気がついた。外に出て、鳴き声のする方へ近づいてみると、山の中の沼のようなところに、まだ片目が半分しか開いていない黒猫の子猫がいた。まだ鳴き声がするのであたりを探してみるとトラ猫の子猫も発見した。

関野さんは、3日前の 8月3日、同じような状況で黒猫の子猫を1匹保護したところだった。3匹面倒を見ることに戸惑いがあったが、イノシシがよく出て危険だったのと、とにかくこの状況から救出しなければと思い、2匹とも保護した。

子猫たちは怯えていたが、普通に抱きかかえて保護できた。段ボール箱などに入っていたわけではなく、そのまま置いたような感じで、沼のような場所だったので動けなかったのだと思われた。

翌日動物病院で診てもらうと、推定生後2週間ほどだった。

小さくていたいけな子猫たち

静岡県に住む梅原さんは、もともと猫が好きだった。物心がつく前に実家で飼っていた猫がいて、当時はあまりペット用品などもなかったので、マンションでは飼いきれないと、両親が里親を探したのは覚えている。

「猫との別れはとても悲しい経験で、いつか自分で猫を飼いたいと思っていました」

高校を卒業し、進学のため実家を離れたが、ペットを飼えない賃貸住宅に住んでいて、経済的にもなかなか猫を迎えることができなかった。しかし、4月に家を新築し、いつか猫をお迎えしたい、と話していた矢先、共通の友人の三田さんから「関野さんが子猫を保護したので飼わないか」と言われた。

梅原さんは、猫を迎えるなら保護猫と決めていて、譲渡サイトもよく見ていた。しかし、まさか築4カ月で猫を迎えるとは思っておらず、「壁や家具をボロボロにされる」と聞いたことがあったので、正直、迷いもあったという。

まずは猫に会ってみたいと三田さんに話すと、その日のうちに関野さんは、三田さん宅に3匹の子猫を連れてきてくれた。

「あまりにも小さくて弱々しい子猫たち。実際に会ってみたら、やはり飼いたい気持ちが強くなりました」

暗闇を明るく照らすライトくん

梅原さんは、後から保護された黒猫の子猫(後にライトくんと命名)を譲渡してもらうことにした。とにかくミルクに吸い付く力が強く、相当お腹が空いているのかなと感じた。ライトくんは最初に保護されたきんくんのおちんちんを母猫のおっぱいと勘違いして吸い付く癖があり、きんくんが痛がって鳴いていたので、別の箱に入れられていた。1番不安が強くて、淋しがりやのように見えたので、関野さんは心苦しかったという。

離乳までは関野さんが育ててくれた。9月の4連休前に迎えれば、少しの間つきっきりで様子が見られるので、9月18日に引き取ることになった。残る2匹は、三田さんが迎えた。

9月18日の夕方、三田さんがライトくんを連れてきてくれた。最初から人に育てられたので、特に怖がることもなく、自由に部屋を歩き回り、おもちゃで遊んだ。ただ、なかなかトイレをしてくれず、最初のトイレまで丸1日ほどかかったという。

黒猫だが、厳密に言うと黒トラ猫。あえて黒にちなんだ名前にせず、暗闇を明るく照らす「ライトくん」という名前にした。

家族全員メロメロに

ライトくんは、とにかく人懐こく甘えん坊。気づくとそばにいたり、膝の上にいたりする。抱っこも大好きだ。

梅原家では、家族全員がライトくんにメロメロになった。起床後も帰宅後も、とにかくライトくんが一番優先で、可愛がった。

「すごくかわいくて、新しい家で、大好きな可愛い猫がいて、毎日幸せです。壁や柱では爪とぎせず、きちんと爪とぎでしてくれるので、家が傷むこともありませんでした」

もう猫がいない生活は考えられないという梅原さん。ライトくんを迎えて、本当に良かったと感じている。

三田さんが引き取った2匹とは兄弟のようだが、近所に住んでいるので、猫情報を共有できるのも心強いという。

梅原さんは、猫を飼おうと思っている人に「ペットショップに行く前に、まずは保護猫を探してみませんか」と伝えたいと思っている。

「血統書がついてなくても、元野良だって、こんなに可愛くて人間が幸せにしてもらえるのですから」

野良猫や、多頭飼育崩壊で行き場がない猫、売れ残って処分される猫など、家族との出会いを待っている猫はたくさんいる。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)