飼っている愛猫にそっくりの立体ちび猫を作ってくれる「手のひら猫ちゃん ちびーズ」(高さ8センチ)が愛猫家の間で話題になっている。作者は福岡県糸島市在住の画家・HITOMIKO(ヒトミコ)さん。2019年4月末から作りはじめ、これまで36体を制作。現在2年待ちで新規受付は停止中だが、購入した人たちは、世界に一つしかない愛猫の「分身」を手のひらに乗せ、カフェや景色のいい場所などに持ち出して写真を撮ったり、何人かで持ち寄って集まり「猫集会」を開いたり…。HITOMIKOさんにこだわりや反響などについて話を聞いてみた。

 HITOMIKOさんは九州造形短期大学デザイン科卒。24歳から本格的にアクリル絵具で抽象画などを描き、2013年には第47回福岡市美術展で最高賞を受賞するなど、展覧会やグループ展に多数参加し活躍している。

 「ちびーズ」を作り始めたのは、2019年4月末から。彫刻家の父親が昔、色のついていない猫の小さな作品を作ったことがあった。それを見かけたHITOMIKOさんの夫から「これに飼い猫の柄を精巧に描いてみたら面白いのでは」と言われたのがきっかけだった。元々、実家にはいつも猫がいて、大の猫好き。猫をモチーフにした絵もよく描いていた。手始めに夫の友人の飼い猫をモデルに試作してみたところ、非常に好評だったため、自身のインスタで依頼者を募り、本格的に受注制作、販売を始めた。

 依頼者は、飼い猫の写真6枚(正面、後ろ、右横、左横、真上、顔のアップ)を送付。1体を仕上げるのに最低2週間かかるという。「体型、首が細い太いなど、骨格はどの子も同じではないので、まずは約1週間かけて、いただいた写真を参考にしながらその子にそっくりの型を樹脂で作ります。その後、アクリル絵具で模様を精緻に描いていきます。最も難しいのは目ですね。ミリ単位の違いで表情が変わってきますので。インスタで他の写真もアップされていれば、それらも穴があくほど眺めて、座る時は両足を揃える癖があるなとか、鼻の長さや口の角度など、その子ならではのしぐさ、特徴を再現できるよう心がけています」

 そうしたこだわりゆえに、完成した「ちびーズ」は、本物をそのまま小さくした、まるで「分身」のような可愛さ。「そっくりで涙がでました」「亡くなったあの子にもう一度会えた」「魂が宿っているように見えます」「一生大切にします」などといった感想が寄せられている。

 これまで36体を制作。インスタグラムで知り合った依頼者同士が「分身」を持ち寄って猫談義に花を咲かせる、といった「ちびーズ集会」も行われたそう。また、愛猫を連れていけない職場や入院先に持ち込んでその存在を感じたり、動画での配信時に登場させたりする人もいたという。

 中にはこんな依頼者も。「その方は茶トラの姉妹を飼っているのですが、生まれたばかりのころはなんともなかったのに、生後3カ月のころ、2匹とも原因不明の末梢神経障害を発症。両手両脚が麻痺して座ることさえできず、以来ずっと今も寝たきりの状態だそうです。飼い主さんからは『あとどれだけ生きられるかわかりませんが、この子たちがお座りしている姿を残してあげたい』と。作ってお届けすると、『夢を叶えていただきありがとうございます。2人ともとっても楽しそう』とお礼のコメントがきて、とても嬉しかったです。一体一体心を込めて作ろうと、改めて身の引き締まる思いでした」

 制作する過程で様々な飼い主や猫と向き合ってきたHITOMIKOさん。「お客さまのなかには保護猫活動をされている方、愛猫たちとの幸せな様子を発信されている方もいて、そんなみなさんの猫愛に接すると、とても幸せな気持ちになり、私も良い刺激を受けています。東京でちびーズの個展をするのが夢なのですが、そのときにちびーズたちの全国集会みたいなこともできたらいいなあ(笑)」と話す。また、今後は保護猫版のちびーズを作り、収益の一部を地元の保護猫団体に寄付することも考えているという。

 1カ月に2つしか作れないため、いまは2年待ちの状態。オーダー再開は2021年末頃になる予定だ。価格は1体5万円(税、送料込)。「先々まで注文を受けてしまってご依頼いただいた方に迷惑をおかけしてもいけないので、新規注文は現在、受け付けを控えていますが、余裕が出てきたらまた逐次募集させていただきます」とのこと。

(まいどなニュース特約・西松 宏)