スコティッシュフォールドのリンちゃん(15歳・女の子)とは、7年ほど前からのおつきあいです。

 当初は爪切りを目的に来院することが多かったのですが、リンちゃんは、爪切りが大の苦手。前回の「韓流兄妹」のように、お母さんになだめてもらったくらいでは、手がつけられません。

 お家では、おとなしく、声もかわいいリンちゃんが、「絶対、触らせないわよ」と、必死に立ち向かってくるので、私たちスタッフもリンちゃんを怖がらせないよう、刺激しないよう、最善の注意を払いできるだけ手早く終わらせるのですが、その間もリンちゃんは大きな声で鳴いたり、叫んだり、シャーシャー、フーフー大騒ぎ。待合室でその声を聞きながらお待ちになるお母さんは、本当にご心配だとは思いますが、無事に終わると笑顔で迎えてくれ、リンちゃんもお母さんも、スタッフもほっと一安心。

 爪切りだけでも一大事のリンちゃんに、さらなる一大事が起きたのは2年前のこと。乳腺に腫瘍ができ、手術をすることになったのです。一同大変心配したのは言うまでもありませんが、手術、入院を無事に乗り越えてくれ、悪性腫瘍だったにも関わらず、再発、転移することもなく、元気に過ごしていました。

 ところが、その後リンちゃんにさらなる苦難が降りかかります。なんと、糖尿病になってしまったのです。糖尿病になると、お家で毎日インスリンの注射が必要になり、リンちゃんが注射をさせてくれるかが大問題でした。でも、お母さんの献身的な愛のおかげで、リンちゃんは治療を受け入れてくれ、血糖値は順調に下がり、治療を続けていくうちに、インスリンを離脱できたのです。猫では時々あることなのですが、リンちゃんほど順調によくなる子はなかなかいません。

 悪性腫瘍にも糖尿病にも打ち勝った強運の持ち主、リンちゃん。今は、腎臓のケアでお注射に通っています。経過は良好で、持ち前のパワーでご長寿猫を目指しています。

 ◆小林由美子(こばやし・ゆみこ) 獣医師。1990年開業の埼玉県ふじみ野市「こばやし動物病院」院長。米国で動物の東洋医学、自然療法を学ぶ。治療はもちろん予防やしつけなどにも造詣が深く、講演活動も行う。ペットと飼い主双方に寄り添う診療が信頼を得ている。

(まいどなニュース/デイリースポーツ)