自らも6匹の猫を飼い、さらに奈良県の愛護センターの保護猫の一時預かりボランティアをしているIさん。そんなIさんの実家に1匹の保護犬が昨年5月、やってきました。Iさんの家と実家は同じ敷地内にあり、Iさんの家に預けられることもあり、そこでその保護犬の意外な能力が発揮されました。

実は甘えん坊、人も猫も大好き

 愛護センターでアイゼン・ハワードと名付けられたその保護犬は推定2〜3歳。山の中で保護されました。見た目はドーベルマンかというようないかつい顔をしていますが、人が大好きな甘えん坊でした。

 「実家とうちは同じ敷地で両親が出かけたりするときはアイゼン君を預かっていて、すっかり私の家にもなじんでしまいました」

 心配だった猫たちとの関係も良好で、それどころか猫が大好きですり寄っていくほど。「人も猫も大好き。猫たちもあまりに愛情深いアイゼン君がちょっと苦手という2匹以外は、リビングで一緒に過ごしています」

大好きな子猫が亡くなりペットロスに

 アイゼン君がやってきたころ、ちょうど6匹の子猫を保護していたIさん。体の弱いももちゃん1匹だけを残し、里親に出すところでした。

 「里親さんに行く前の子猫たちとキャリー越しにアイゼン君と対面させたところ、その様子をみて、この子は子猫に会わせても大丈夫な子だと、経験から分かりました。短い時間でしたが、子猫たちもすっかりアイゼン君に甘えていました」

 残ったももちゃんは、ひん死の状態から少し回復して点滴器具をつけていたので、そばでじっと見ていたアイゼン君ですが、まるで励ましているような関係でした。しかし、残念なことにももちゃんはその後、亡くなってしまい、Iさんはペットロス状態に。アイゼン君も、ももちゃんの姿を探し、泣き続けていました。

 「他の猫たちは、とても冷静でしたが、アイゼン君だけが、どこに行ってしまったの?と探し回り、キューン、キューンと泣き続けていました」

子猫を引き寄せるパワーもあるアイゼン君

 そんなアイゼン君は、子猫を引き寄せる力もあるようで、散歩中に立ち止まったのでふと見ると、遠くに猫の姿が…。帰宅するといつの間にかついてきたのか、庭にその猫がいました。

 「このときは保健所に連絡して保護してもらいましたが、幸い、新しい里親さんが見つかったと聞き、安心しました」

「アイゼン君のおかげで1匹の命が救えた」とIさん 

 しばらくすると、Iさんの家にまるで亡くなったももちゃんと入れ替わりのように一時預かりの子猫がやってきました。当然、アイゼン君は興味津々の様子。これまでも子猫に対してやさしかった実績もあり、Iさんも信頼していました。

 すると、どうでしょう。去勢済みのオスのアイゼン君が、子猫をグルーミング、排せつの世話までしてくれました。子猫も母親のように思い、甘えて一緒に寝ていることも。

 「そろそろ、この子もうちを離れる時期なので、アイゼン君がまた寂しがるかもわかりませんね」と複雑な思いのIさん。しかし、一時預かりのボラティアは続けているので、出番はまだまだあります。子猫大好きのアイゼン君は新たな出会いを心待ちにしてくれるでしょうか。

(まいどなニュース特約・山中 羊子s)