これは私の友人A君の話です。A君は同じ高校で出会い、そこから現在まで付き合いがある友人の一人で、年に何度か当時の仲間で集まり楽しい時間を過ごしています。数年前、そんなA君の恋の話に酒の席は盛り上がっていました。

「どこで出会ったの?」「何歳?」「何の仕事してるの?」と次々に質問が飛び交う中、A君は照れながらも一つ一つ答えていました。

相手の女性は私たちより年下で小学校の先生をしているとのこと。友人とのBBQで出会い、話してみたらなんと地元が同じで意気投合したらしいです。

実はA君、高校時代にひどい失恋をしてから恋の噂が全くない状態で、周りの友人たちもずっと心配していました。そんな中の恋の話だったので、その日はうれしい気持ちや安堵の気持ちで大いに盛り上がりました。

「Aがついに結婚か〜」と思っていたら…

その後交際は順調に進み、2年後には婚約したとの報告がありました。もちろん、私たちは交際発覚時に比較できないくらいの大騒ぎでした。「Aがついに結婚か〜」とうれしいような少し寂しいような感じがしました。

婚約から半年が経過したある日のこと。夜にA君から着信がありました。

「もしもし、久しぶり〜結婚の準備は順調??」と声をかけた私は、A君の第一声で一気に浮かれた気持ちが逆転していく感覚に襲われました。

「実は…婚約者とは別れたんだよね」

「えっ!?婚約破棄ってこと!?」

聞くと、式場も決まり両家の挨拶も終わり、結納を明日に控えていたある日。

最近の彼女の様子がおかしいと感じながらもマリッジブルーかと思っていたA君。

そのまま結納当日を迎えたのですが、約束の2時間前に婚約者の母から連絡が入り、「今日の結納は延期してほしい」と言われたんだそうです。

突然の申し出に困惑し、訳を聞くと「娘が着替えを拒否し泣きながら中止を訴えている」とのこと。

とりあえず、まずは直接話をしようと婚約者の自宅を訪ねると泣き腫らした目をした婚約者の姿がありました。

「どうしても諦められない人がいる。だからあなたとは結婚できない」

と、話す婚約者にちゃんと説明してほしいと言うと、ぽつりぽつりと話し始めたそうです。

昔好きだった人とSNSを通じて再会してしまい…

婚約者が諦められない人とは、幼馴染みの先輩でした。2人は高校で別々になり、そこから疎遠になっていたのですが、最近SNSを通じて再会したとのこと。

昔好きだったこともあり、何度かメッセージのやり取りをしているうちに惹かれるものがあったようです。しかも、婚約していることを伝えると「そんな結婚辞めて、俺と結婚しろよ」と言われたらしく、そこからどうしていいかわからなくなってしまったらしいです。

その間もA君との結婚に向けての準備はどんどん進んでいき、結納当日になって「このまま結婚することはできない。やはりA君より彼の方が好きだ」という結論に至ったそうです。

理由を聞いたA君は愕然として、その後も「よく考えて。結婚は自分たちだけの問題じゃない」と何度も説得したようですが、もはや婚約者の耳には届かず。逆に「私の相手はあなたじゃなかった」と婚約はなかったことにしたいと言うばかりだったそうです。

それからA君は婚約者と数日にわたって話し合いを重ねましたが、事態が変わることはなく。結果的に、婚約者とは連絡を取ることも、会うこともできなくなってしまいました。式場はキャンセルしてキャンセル料は婚約者の両親が支払い、そのまま音信不通になったそうです。

あんなに喜んでいた両親を悲しませてしまったと嘆くA君。

その時の私は「結婚する前に気がついてよかったよ。きっとまたいい出会いがあるよ!」と、声をかけることしかできませんでした。

   ◇   ◇

あれから数年後、元婚約者がどうなったのかはわかりません。しかし、A君も未だ独身のままです。辛い経験をしたA君の新たな出会いがいいものになってくれることを願うばかりです。

(まいどなニュース特約・島田 志麻)