一見してパン屋さんとは思えない店名や商品のネーミングと目を引く大看板。昨年12月にオープンした高級食パン専門店「ルビーをつけながら」(大阪府泉大津市)は「一体、これは何の店?」と話題になっています。経営母体は、地元の老舗ジュエリー会社のジュエルフジミ。藤原華子社長に出店理由やネーミングの経緯などを聞きました。

■目指すは老若男女に愛されるベーカリーショップ

 南海本線「泉大津駅」から歩いて数分。食パンを持った美しい女性が描かれた目を引くおしゃれな看板「ルビーをつけながら」が目に飛び込んできます。一見して、食パン専門店には思えない斬新さで、多くの人が「何の店?」と、足を止めていました。

 コロナ時代になり、新規事業を模索するところも少なくありません。宝石など貴金属の販売を手がけてきた会社ジュエルフジミもその一つ。「宝石関係のイベントが中止になるなど、なかなかお客様のお顔を見ることができない昨今。そこで、いつでもお客様に気軽にお会いすることができる、そんなお店を開きたかった」と藤原社長。そこで、知人の紹介で著名なベーカリープロデューサーの岸本拓也さんと知り合い、高級食パン専門店を開く決意をし、そのプロデュースを岸本さんにお願いしたといいます。

 「泉大津で長年にわたり宝石の仕事をしてきましたので、お店を出すなら絶対、地元でと考えていました。店名もパン名も岸本さんが名付け親です。もちろん、気に入っています」

 藤原社長の思いを組み入れた岸本さんがネーミングした店名がなんと「ルビーをつけながら」でした。そのこころは、まるでルビーを身につけ、ドレスアップしたような気分で食パンから始まる新しい朝をスタートさせてほしいと願ってのもの。ジュエリー会社ジュエルフジミが経営母体と知っている地元の人ならピーンとくるネーミングだったのです。

 商品名にも手を抜きません。メインのプレーンな食パン名は藤原華子社長の名の1字が入った「華のくちどけ」に。大粒のレーズン入り食パンは「午後の宝石」とこだわりました。

 宝石をイメージしそうなネーミングはお客様にも好評で「センス抜群」「優雅な気分で味わえそう」(泉大津市在住・主婦)という声が異口同音に聞かれました。また「宝石をご購入いただいている従来のお客様もたくさん来ていただいています。食パン専門店にしたおかげで気軽にご来店いただけるのも、うれしいです」と藤原社長は地域との絆の深さを実感していました。

■こだわりのオリジナル食パンは味で勝負!

 店名も商品名もユニークですが「やはり味で勝負したい」と藤原社長。実際に、社員やスタッフに混じって、食パン作りの指導も受けたそうです。それだけに「食パン作りの大変さもわかり、手塩にかけた私たちの食パンを多くの人に味わってもらいたいです」と話します。

 「華のくちどけ」(2斤880円税込)は独自に製粉した小麦粉と、牧草のみで育ち、乳牛から作られた高品質のグラスフェッドバターを使用。華やかな香りが鼻をくすぐるローズマリー蜂蜜を加えて焼き上げています。

 「1日目は焼かずにそのままで食べていただきたい」と藤原社長。ふんわりとした柔らかい口どけが特徴で、コクがあり、奥行きのある風味も魅力です。トーストにしても風味豊かで美味。生食もトーストもともにおすすめです。

 「午後の宝石」(2斤1,080円税込)は大粒のサンマスカットレーズンを生地にたっぷり練り込んで焼き上げているのが特徴。さわやかな酸味が癖になりそうなレーズン入り食パンで、デザート感覚で食べる人も少なくありません。こちらは1日25本の限定販売です。また食パンに合うジャムやディップも発売。食パンに欠かせないスペイン産ローズマリー蜂蜜は量り売りをしています。

 味で勝負したい、というだけあったか食パン類は営業時間内に売り切れることもしばしば。それに、食パン類は焼きあがりが少しでも変形しているものや、焼きあがりに納得がいかないものなどは販売しないというこだわりぶりです。

 「食べるのには何も問題ないのですが、パーフェクトな形でお客様に出したいからです。販売しない食パンは無料で施設などに寄付させてもらっています。少しでも地元に貢献できたらうれしいですね」と藤原社長は話します。

 熱い思いがいっぱい詰まった「ルビーをつけながら」の食パン。ファンが増えている理由はこんなところにもあるかもしれまもせんね。

(まいどなニュース特約・八木 純子)