愛知県に住む服部さん夫妻は、妻は犬派、夫は猫派だった。猫派の服部さんは、奥さんにも猫を好きになってもらって猫を飼いたいと思っていた。奥さんは猫の魅力にはまっていったが、飼うとなると話は別。夫婦は7年後、30歳になっても子宝に恵まれなければ猫を飼うことにした。

30歳になっても子宝に恵まれなければ猫を飼おう

犬派の奥さんに猫のかわいさを知ってもらおうと、服部さんは猫の動画を見せたり、二人でペットショップに猫を見に行ったりした。

最初は半ば無理矢理だったが、次第に服部さんより奥さんの猫熱のほうが上がってきた。服部さんは「じゃあ、猫を飼おう」と言ったが、奥さんはなかなか首を縦に振らなかった。猫の持つトキソプラズマウイルスに妊婦が感染すると、場合によっては胎児に影響を及ぼすことがあるためだ。

そこで服部さん夫婦は、30歳になっても子宝に恵まれなければ猫を飼おう―と約束した。

譲渡会で、どの猫にするか決められず

2020年11月、愛知県豊川市の警察に1匹の子猫を保護して持ち込んだ人がいた。生後3か月半くらいで、警察から連絡を受けた愛知県動物保護センターが引き取った。

同じ年の12月、30歳になった服部さん夫婦は子どもができなかったため、約束通り猫を飼うことにした。

譲渡会の情報を探して同センターのサイトを見た服部さんは、警察に持ち込まれた子猫を見つけた。「ものすごく大人しそうな印象で、毛も、ものすごく滑らかな感じ。夫婦で鼻がピンク色の鼻の子がいいねと言っていたので、思い描いていたままの子猫がいてびっくりしました」

譲渡会にその子猫が出るというので夫婦で見に行くと、初めて会うのに子猫は警戒するそぶりもなく、リラックスしていた。「センターで大事に育てられたのだと思いました」 

譲渡可能な猫たちは子猫と成猫合わせて8匹いた。「気に入った猫がいなければ帰ろう」とも話していたが、会場に入るやいなや、子猫達の鳴き声や姿に奥さんはくぎ付けになった。

職員から譲渡に関する話を聞いている間、ケージ越しに視線を送ってアピールしてくる子猫がいた。服部さんは「この子にしよう」と思ったが、奥さんは「全部引き取りたい」とも。しかし、1匹しか引き取れないきまりなので夫婦は悩んでしまった。結局、職員の後押しもあって、警察に持ち込まれて、ケージ越しに視線を送ってきた子猫にすることにした。

コタくんを迎えて夫婦の笑顔が増えた

帰路、車の中で子猫が叫ぶように大きな声で鳴きだし、夫妻は困惑、猫もパニックになった。どうなることかと思ったが、家に着くと案外落ち着いていて、ごはんをモリモリ食べ、おもちゃで遊び、トイレもすぐに使ってくれた。

1週間名前が決まらず悩んだが、よく噛むし、模様が"虎"っぽいので、服部さんの名前の"太"という文字と合わせて「虎太」になり、さらに片仮名のコタくんにした。

コタくんはやんちゃで甘えん坊。ネズミのおもちゃをゲットすると前回りして喜び、収穫物を服部さんの前まで持ってくる。

コタくんが来てから夫婦でコタくんの話をしては笑うことが増え、コタくんのために何かしようと思っているという。服部さんは、コタくんは去勢してあったので飼いやすいのではないかと実感している。男の子だが暴れることもなく、マーキングもしない。何より、飼うことのできない命を生み出さないためにも、不妊手術はしたほうがいいと考えている。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)