野良出身で、なかなか人間に心を開いてくれないむぎくん。飼い主の小川さんは、2匹目を飼ったら、その子を見ていろいろ勉強するのではないかと願った。2匹目に迎えた猫は、飼い猫が思わぬ妊娠をして出産したという子猫だったが、天真爛漫で、むぎくんとは対照的だった。

先住猫の警戒心を解くために

神奈川県に住む小川さんは、2017年2月、友人が保護した野良猫の子猫、むぎくんを譲り受けた。生後4カ月の子猫だったが、母猫と一緒に行動していた野良猫の子猫だったので人間への警戒心が強く、初めて家に来た時は触れないほど攻撃的だった。

「なかなか懐かないのは仕方ないと思ったのですが、もう1匹猫を飼えば、お互いに教えたり教えてもらったりして、社会性が身につくのではないかと思いました。たとえば、むぎは極度の人間不信ですが、2匹目の猫がいたら『大丈夫、危険じゃない』と学習するのではないかと期待したのです」

ジモティーというサイトで2匹目の猫を探してみたら、むぎくんが生まれた川崎市で、産まれたばかりの子猫の里親を募集していた。成猫だとむぎくんが受け入れないと思い、子猫を探していたのでぴったりだった。

飼い猫の不妊手術をせず、妊娠、出産

2019年6月30日、小川さんは問い合わせをしてみた。母猫は飼い猫だったが、家の中と外を自由に出入りしていて、不妊手術をしていなかったので妊娠、出産した。子猫は4匹兄弟だったが、1匹は飼い主が飼うため、残る3匹の里親を募集していた。

小川さんが見に行った時は、まだ目も開いていなかった。いたいけな子猫たちを見て、小川さんは母猫のおっぱいを探して元気に動き回っていたハチワレの子猫を選んだ。授乳を終えてから譲渡してもらったので、生後1カ月半で家に迎えた。

8月3日、子猫を迎えに行ったが、車中、子猫は鳴きもせず、小川さんのひざの上でじっとしていた。

「相変わらず母猫を外に出していたので、子猫にもノミがついていて、家に帰ってすぐにシャンプーしました」

先住猫に甘えることを教えてくれたあおくん

ハワイ語で光という意味の「あお」という名前にした。先住猫むぎくんの光になってくれたらと思ったそうだ。

人間を完全に拒否してケージの中にこもっていたむぎくんに比べて、産まれた時から人に育てられたあおくんは、まったく手がかからなかった。最初はむぎくんがあおくんを受け入れなかったので少し体調を崩したが、一週間もするとだんだん距離を縮めながら追いかけっこをするようになり、すっかり仲良くなった。

あおくんはごはんの時間になるとニャーニャー、スリスリして甘える。可愛いアピールも上手だが、むぎくんは人間にどう甘えていいのか分からない。

「あおの行動を見ていて、むぎも少し控えめではありますが甘えられるようになりました。あおのほうが年下ですが、たまにあおのほうがお兄ちゃんのような気がします」 

むぎくんは一緒に遊ぶ仲間ができたので楽しそうで、留守番も2匹一緒だから寂しくないようだ。今では寄り添って寝るほど仲が良い。小川さんは、あおくんを迎えて本当に良かったと思っている。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)