飼育放棄された犬と猫2匹が1月下旬ごろ、滋賀県動物保護管理センターに収容されました。2匹とも10歳以上の高齢…譲渡候補にならないため、ただ殺処分を待っているだけの子たちでした。

10歳超のチワワ犬は段ボールで遺棄 17歳のアビシニアンは飼い主が“殺処分”を依頼

犬は10歳を超えていたとみられる、おばあちゃんチワワ。同センターの前に段ボールに詰められた状態で置かれていました。爪も伸びたまま、歯も全くなかったそうです。

もう1匹は17歳のアビシニアン。長生きのおじいちゃん猫です。飼い主が同センターに直接持ち込みました。後ろの左足がありませんでした。「7歳のとき高いところから落ちて、足がなくなった」と、飼い主が言い残して同センターを立ち去ったといいます。同センターの獣医師が診察したところ、心雑音と腎臓数値が悪く体調も優れなかったようです。

滋賀県の動物愛護推進員が2匹引き取り、里親を見つける

殺処分を待つだけだった2匹。状況は一転しました。同センターから連絡を受けた動物愛護推進員の藤原久美さんが引き取ることになったのです。譲渡候補にならない子たちが入る収容棟から2匹は引き出されました。

藤原さんが初めて2匹と会ったとき、猫は自分の置かれた状況に理解できていないのか不安そうな表情を浮かべ、犬はおびえていたそうです。少しずつ近付くと、2匹はとても人懐っこく、威嚇さえもしない…「人間に捨てられたのに、余計に悲しくなる」。藤原さんはそう思ったといいます。

里親さんはボランティア仲間…これからの余生“安寧”を祈って「最期まで看たい」

そして、2匹を最期まで看取ってくれる里親さんをSNSを通じて探しました。すぐに反響があり…犬は仲間の推進員が里親さんを見つけ、猫は友人のボランティアが里親さんになってくれました。

飼育放棄の猫だけではなく、同時にケガをしていた猫も引き取ったという友人ボランティアの里親さん。2匹が平穏で心安らかに過ごしてほしいとの思いを込めて、名前を「安寧(あんねい)」から「安(あん)」と「寧々(ねね)」と付けました。引き取ったのは「もう嫌な思いはさせたくない。私が里親になって最期まで責任を持って看たいからです」と話します。

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コロナ禍で新たにペットを飼う人増加 最期まで看取れますか?

滋賀県動物保護管理センターで飼育放棄の犬猫の命を救った藤原さんは、同県の動物愛護推進員になって今年で8年目。同センターで殺処分となる犬猫たちを引き取り、里親につなげる活動をしています。活動を通じて、こう語ってくれました。

「推進員は、譲渡候補になれない殺処分を待つだけの犬猫たちを引き取ることができます。今回、飼育放棄された犬猫を救えたのは推進員やボランティア仲間のおかげです。
とはいえ、私一人で収容されている犬猫など動物たち全ての命を救うことはできません…持ち込まれたり遺棄されたりしたほとんどの子が日の目を見ず殺処分になってるのが現状です。

私たち推進員やボランティアは仕事ではなく、本業をしながら完全無給で活動をしていますから、限界があります。本音をいうと、お金と場所と時間があれば全ての命を救いたい。

今回のように高齢の犬や猫を『ボケた』『病気になった』などの理由で、行政に持ち込んでくる、あるいは遺棄する無責任な飼い主は後を絶ちません。年老いて看取ってもらえず、最期は『殺処分』…これは、飼い主に殺されたのも同然です。最期まで飼えないならば、最初から飼わないでほしい」

今、コロナ禍による自粛生活で、ペットとして犬や猫などを新たに飼う人が増えているといいます。ペットも命ある“家族”です。最期まで看取っていただくことを願っています。

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)