大阪府に住む愛猫家の嶋田さんは、職場の人の親戚が猫を飼っているが、不適切飼養ではないかという相談を受けた。現場を見に行くと、凄惨な光景が広がっていた。猫の飼育どころか人間の生活さえままならない状況。飼い主は退去を迫られていた。

猫のトイレがセメント化

大阪府に住む嶋田さんは、数匹の猫を飼っていて保護もしている。2019年1月、職場の人から

「姪が子供と二人で暮らしていて、猫を2匹飼っているけど、どうやらちゃんと飼っていないようだ」という相談を受けた。

何はともあれ現場を見てみないとと思い、家を訪ねてみることにした。部屋は尿の臭いが立ち込め、猫のトイレは、猫砂がセメントのように固まっていて、もはや砂ではなかった。便も何日分たまっているのか分からない状態で、一目見ただけで不適切飼養だと分かった。

リビングには洗濯物があらゆるところに点在していて、流し台には洗っていない食器が山積みに。スーパーの袋があちらこちらに落ちていた。部屋には入ることができたが、この日は飼い主には会えなかったという。

里親が見つからず、所有権放棄

格安で借りていた部屋だが家賃も滞納気味で、生活は苦しいようだった。「大家さんは、こんなに乱れた生活で、部屋糞尿まみれになるのであれば退去してほしい」と言ったという。

2月10日、大家さんと母娘、関係者と嶋田さんが集まって話し合いが持たれた。がんばって猫の里親を探したが、見つからなかったということだった。娘にはまだ何も言っていなかったので、嶋田さんが責任を持って飼い主を探すと伝えた。

嶋田さんは飼育放棄するという気持ちが揺るがないよう、その場で2匹の猫を引き取り、連れて帰った。

「そう遠くない場所だったので、いつでも会いに来てくれていいよと言ったのですが、会いに来たことはありません」

後で聞いた話では、押し入れや部屋の隅が糞尿まみれになっていたそうだ。

一転、幸せをつかんだ2匹

猫は推定2歳の姉妹。名前はトラちゃんとノラちゃんだった。どちらも不妊手術をしていなかった。万が一外に出たら間違いなく妊娠していた。

嶋田さんは不妊手術をしてから里親を募集した。茶トラ猫の女の子は珍しいが、2歳になっていたのでなかなか里親が見つからなかった。

「我が家の猫とも仲良くしていたので、このままうちの子になってもいいと思ったのですが、素敵な里親さんが現れ、いまではとても幸せに暮らしています。まるでシンデレラストーリーのようです」

トラちゃんとノラちゃんは、どちらが里親にたくさんなでてもらえるか競争し合ったり、広い部屋を走り回ったりしている。

「保護した時はソーセージのように細長い身体でしたが、いまはふっくら可愛くなりました。これからも里親さんとの生活を思う存分楽しんでほしいと思っています」

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)