小中学校に1人1台の情報端末を配備するという文部科学省「GIGAスクール構想」の一環で、全国の児童にiPad等の支給が進んでいる。

そんな中、SNS上では「一人の女の子がペットのハムスターをカメラアプリで撮影し、iMovieで紹介動画を作ってきた。子供の適応力はすごい、と感心して"かわいさが伝わるね!"と称賛。しかし、管理職から"学習以外で使用させるのは禁止のはず"と指導を受けた。」と実際の教育現場でのiPad運用の難しさを打ち明ける投稿が大きな注目を集めている。投稿の主は小学校教員のヒライテルナリさん。

管理職の方の言うことはもっともなのだが、心の片隅に残ってしまう「学習とはなんぞや」という疑問。ヒライさんの投稿に対し、SNSユーザー達からは「紹介動画を制作することを通して学べたことを子どもに書かせて管理職に見せてあげてください。"主体的に学ぶ態度"についてまだこの管理職は理解していないのでしょう。」「学習=教科学習、そして学校でしかなし得ものだと思っているんですかね。学習指導要領読み直していただきたいですね。管理職が結構足枷になる時ってありますよね。」「世の中、教師による性被害にあわれたお子様もいらっしゃるので、自宅画像や児童自身の画像を送るなどにエスカレートしない為にも疑われない為にも、部下や生徒を守るという事で管理職の発言があったのでは?と感じます。難しいですね。」など多様な意見が寄せられている。

今回の出来事についてヒライさんにお話をうかがってみた。

中将タカノリ(以下「中将」):学校でiPadが支給されるにあたり、使用方法について細かなルール等は決められていなかったのでしょうか?

ヒライ:「学習以外では使用しない」という大枠のルールがあります。家庭での使用方法として許可されているのは、「家庭学習(自主学習含)」「学校連絡」「学校ホームページの閲覧」です。その他、持ち運びや保管など安全に使用するための約束が決められています。

中将:自主学習を含む家庭学習というのがざっくりしていて解釈の難しい部分ですね…。使用用途の制限を伝えた際、児童のみなさんから残念がる声などはありませんでしたか?

ヒライ:残念そうな表情を見せていましたが不満を訴えることはありませんでした。制限を伝える際に、「みんながiPadでやってみたいことを出来る限り授業に取り入れて行きます。」と伝えたことで納得してくれたのかもしれません。

中将:管理職の方の指摘を受けた上で、ヒライさんはiPadがどのような形で利用されるべきだと思われますか?

ヒライ:子供たちが危険に晒されないよう、安全上のルールはしっかりと守る必要があると思います。その上で、使用上安全性が確認できているアプリであれば、子供たちの興味関心に合わせて自由に使う時間があってもいいと思います。

中将:ヒライさんは今後どのような形でiPadを使った教育に取り組んでいきたいですか?

ヒライ:今後は教育課程に基づいた学習計画の中にiPadの活用を組み込んでいきたいです。その際、事前に子供たちからiPadをどのように活用してみたいか聞き取り、それに応じて学習形態や方法を検討していきたいと思います。

中将:規制する一方でなく、子供たちの意欲を引き出すためのツールとしてiPadが活用されて欲しいですね。ヒライさんのご投稿に対しさまざまな意見が寄せられていますが、今回の反響へのご感想をお聞かせください

ヒライ:正直、驚いています。これほどまでに多くの方が学校教育に関心を寄せていただいてるのだと強く実感しました。また、たくさんの熱心なコメントをいただき、多様な立場のご意見を拝読しながら私自身改めて考える機会となりました。心から感謝しています。コメントを読む中で、多くの方がもっと子供たちに自由な学びの場を与えてほしいと願っていることも分かりました。今後も、子供たちが好奇心をもって自由にのびのびと学んでいくことのできる学校づくりを目指していきたいと思います。私も子供たちと一緒に楽しみながら教育活動に取り組んで行きます。

◇ ◇

「茨城県教育研修センターがYouTube上で公開する木村泰子さんと苫野一徳さんの対談動画にこれからの学校教育の在り方を考えるヒントが沢山あると思います」とヒライさん。いくら政策でiPadを支給しても、肝心の子ども達がその利用に意欲を持てなければなんの意味もない。日本中の学校に、ヒライさんのような積極的な学びを子供たちに提供しようという教師が増えてくれることを願いたい。

(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)