3月4日にデビュー作となる小説「死にたがりな少女の自殺を邪魔して、遊びにつれていく話。」を宝島社文庫から刊行する星火燎原(せいかりょうげん)さん。その表紙イラストの仕上がりについて「作者の想像を数億倍上回った」とTwitterに投稿し、注目を集めています。「凄い背景」「ブルーな青空」「エモい帯」など、打ち合わせ前にはなかなかの(笑)イメージを想定していたという星火さんと、イラストを担当したイラストレーターの「さけハラス」さんに話を聞きました。

「死にたがりの―」は第8回ネット小説大賞受賞作にして、小説投稿サイト「小説家になろう」の恋愛部門で大きな反響を呼んだ恋愛小説。「死神と取り引きをし、寿命が3年になる代わりに時間を24時間巻き戻せる時計を手に入れた相葉純は、その時計の力で、自殺願望の強い少女・一之瀬月美の自殺を邪魔することになる。時間を巻き戻し、一之瀬の自殺を邪魔し続けるうち、二人の関係は徐々に変化していき……。閉塞した日常と、生きづらい日々を少しずつ変化させる、小さな恋の物語」(宝島社のサイトより)です。

「恋愛小説だけど恋愛以外にもアピールしたい部分が多い」「ライトノベルではなく一般文芸の棚に置かれるので可愛い女の子キャラを強調するのは悪手かも…?」と迷うことが多かった上、「そもそもこの長いタイトルをどう表紙にまとめるのか」など散々頭を悩ませたという星火さん。いろいろあって(割愛)最終的に「駅のホーム」を舞台の候補に定め、担当者との打ち合わせ前には模型を買って“脳内イメージ”を膨らませていたそうです。

そのイメージというのが、Twitterにも投稿されている「ホームの模型写真に、漠然とした指示(文字のみ)が配置されている」案。これにはTwitterユーザーも「ブルーな青空というパワーワード」「凄い背景w」「いい感じに雑で何か好き」など大盛り上がり。そして「作者の想像を数億倍上回った」というさけハラスさんによる表紙イラストには「ふわっとした要求にこう応えるんだから凄いなあ」「胸熱」「言葉には表現できない感じがイラスト化されてるのがホントにすごいです」と、あらためて“プロの仕事”に対する驚きと畏敬の念が広がりました。

「これ以上ない完璧な表紙イラスト。担当してくださったのがさけハラス先生で良かったです」と話す星火さん。「一般文芸の棚に足を運ぶ人はラノベの読者層とは違うので、どこに向けて、誰に、どんなイラストを描いてもらうかでかなり悩みましたが、出来上がった表紙はどちらの層にも手に取っていただきやすい素晴らしいものでした。文字と背景を損なわずに文字数の多いタイトルを配してくれたデザイナーさん、“エモい帯”のコピーを考えてくれた担当者と宝島社の編集部にも本当に感謝です!」

ちなみに「さけハラス先生には、担当者と話し合ってまとめた案をお伝えしています。決してあの表紙案をそのままお渡ししたわけではありません」とのことです。念のため。(とはいえ担当者との打ち合わせには模型を持参したらしい)

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さけハラスさんにも取材しました。

――あのイメージから実際のイラストに仕上げるまでにどのような段階を踏みましたか。

「星火先生、編集さんと最初に打ち合わせをした段階で、模型のイメージではなく、斜めの構図の案をご提案いただいていました。なので、厳密には私のアイデアではありません。別の構図の案なども出しながら話し合ったのですが、結果として斜めの構図が一番テーマも表現できて良いのでは、ということで決定し、舞台のモデルとなった駅を取材して制作しました」

――星火さんも大変喜んでおられましたね。Twitterの反響も大変なものでした。

「多くの方に本の事や自分の絵を知っていただく機会にもなり、純粋に嬉しく感じています。装画には、お話に絵をつけることにより、手に取ってもらえる方を増やす目的があると思うので、さらに本の購買にも繋がればと思っています」

――実際に小説を読んだ感想はいかがでしたか?

「『自殺』がテーマとして扱われている作品ですが、決して暗いお話ではなく、些細なことでも生活の中で大切なことを思い起こさせてくれる事があり、前向きな気持ちになれました。カバーイラストを描く際にも、編集さんにそのバランスに気を遣うようにご相談いただきました」

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「死にたがりな少女の自殺を邪魔して、遊びにつれていく話。」は税別720円。星火さんは「普段恋愛ものを読まない人にもぜひオススメしたいです」とPRしています。

(まいどなニュース・黒川 裕生)