「南風原」…この名字、読めますか? 姓氏研究家・森岡浩氏が日本人の難読名字を紹介します。

   ◇   ◇

「東風」と書いて「こち」と読む名字(東風平=こちんだ)を紹介したことがあるが、それでは「南風」と書いてどう読むだろうか。正解は「はえ」で、「南風原」は「はえばる」と読む。

西日本では梅雨から盛夏にかけて南から吹く風のことを「はえ」といい、梅雨期のものを「黒はえ」、梅雨明け以後のものを「白はえ」として区別することもある。梅雨の最盛期の強い南風は「荒南風」ということもあった。また、南西諸島から沖縄では、南の方角のことも「はえ」といった。

「南風原」という名字は沖縄のもので、ルーツは南風原間切という地名。現在は島尻郡南風原町となっている。

石垣島を中心に、八重山諸島一帯には「南風立(はえだて)」「南風野」「南風盛」「南風原」など「南風〜」という名字が集まっているが、その中では「南風原」が圧倒的に数が多く、沖縄本島南部と石垣島、渡名喜島に集中している。

◆森岡 浩 姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部卒。学生時代から独学で名字を研究、文献だけにとらわれず、地名学、民俗学などを幅広く取り入れながら、実証的な研究を続ける。NHK「日本人のおなまえっ!」にコメンテーターとして出演中。著書は「47都道府県名字百科」「全国名字大事典」「日本名門名家大事典」など多数。