買い物帰りに自転車を走らせていたとき、子猫の甲高い鳴き声が空き地から聞こえてきた。そばには交通量の多い道路があった。「どこにいるんだろう」と思い探してみると3匹の子猫が身を寄せ合っていた。さらにもう1匹の鳴き声も聞こえてきて、子猫が4匹見つかった。 

空き地で鳴いていた4匹の子猫

2019年8月29日の夜、千葉県に住む美香さんは、買い物の途中だった。小さな居酒屋のところに差し掛かると、隣の空き地からミャーミャー子猫の鳴き声が聞こえてきた。美香さんは猫が好きで、いつか同棲していたパートナー(現在は夫)と猫を飼いたいと思っていた。すぐに飼おうとは思っていなかったが、猫カフェやペットショップに猫を見に行ったり、里親募集情報を見たりしていた。

気になって自転車を降り、猫の声を頼りに探してみると、雑草が生い茂る草むらに3匹の子猫が固まっていた。白猫とキジトラと三毛猫の兄弟のようだった。野良猫なのか誰かが捨てたのかは分からない。

歩道は自転車がすれ違えないほどの幅で、交通量の多い道路に面していた。

「子猫とはいうもののヨチヨチ歩けるので、このまま放っておいてはすぐに車道に出てひかれてしまうと思いました。保護しなきゃと思った時、奥のほうからかすかな鳴き声が聞こえたんです」

4匹とも私が飼う

「まだ猫がいるの?」と思った美香さんが、スマホのライトで照らして猫を探すと、がりがりに痩せて、毛が縮れている白猫の子猫がいた。

気づくと、居酒屋のおかみが電話をしながら出てきて、「保護センターに預けたほうがいいのかしら」と話している。美香さんは、「保護センターに連れていかれたら、この子たちにもう会えなくなる」と思い、4匹の猫を飼う決心をした。彼氏も了承してくれた。

居酒屋のおかみに「自分が引き取る」と告げ、ひとまず荷物を下ろすために帰宅。その間、おかみに子猫たちを見守ってもらった。すぐに取って返し、自転車の前かごに4匹の子猫たちを乗せた。

生後1週間くらいで、ヨチヨチ歩く姿が可愛かった。それぞれ色柄が違っているのも良かった。ただ、最後に見つけた白猫だけは少し汚れていた。

子供が4人いるような幸せ

彼氏が買ってきてくれた猫用ミルクを飲ませようとしたが、まだ哺乳瓶なかなかうまく飲めなかった。なんとか少量飲ませると子猫たちは少し落ち着いたようだった。タオルを敷き詰めたダンボール箱の中でミャーミャー鳴いていたが、やがて眠りについたという。

最初に見つけた白猫はゆきくん(オス)、キジトラ(オス)はむぎくん、三毛猫はみけちゃん(メス)と名付けた。最後に保護した白猫は、白といよりベージュに近い色だったのできなこちゃん(メス)にしたが、やがて真っ白な猫になった。

ゆきくんは甘えん坊。生後5カ月まで美香さんの指を吸っていた。きなこくんは、遊んでいたら鍋つかみ用のミトンに頭が入って抜けなくなったこともある。むぎくんは生後4カ月の時に紐を誤飲。生死を左右する大手術を受けた。みけちゃんはおやつや気に入ったおもちゃを、誰にも取られないように口にくわえ、少し離れたところに持っていく。

美香さんは「まるで子供が4人増えたようだ」と言う。

「やんちゃで食べ盛り、遊び盛りで、いろいろいたずらもするので心配ですが、家が明るくなって楽しいです。イライラさせられることもありますが、それ以上に癒しと幸せをもらっています」

美香さんは「あの時出会えてよかった」と思っている。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)