みるくちゃん(4歳・メス)は、動物病院の近くの路上で保護された。保護主は飼うことができなかったので、動物病院に勤めていたHさんの妹が預かり、里親を探すことにした。しかし、みるくちゃんは盲目で、ダブルキャリアだったので、なかなか里親が見つからなかった。

道端で保護された盲目の猫

2017年3月初旬、通行人が、静岡県に住むHさんの妹が働いていた動物病院に、「近くの道端で一匹でいた」という猫を連れて来た。生後1カ月くらいで、目が見えていないようだった。猫風邪もひどい状態で、かなり衰弱していたという。

保護した人は飼うことができず、当時、動物の保護活動をしていた妹が引き取った。一時目の奥から膿が出てきて止まらず、眼球の摘出を考えるほどだったが、成長がとても遅く、手術するには体重が軽かったので瞼を縫合して閉じる処置をした。しばらく毎日膿が出て来たが、手術ができる頃には眼も引っ込み、摘出はしなかった。白血病とエイズのダブルキャリアであることも判明し、猫風邪も慢性化していたため、里親探しは難航した。

人懐っこい甘えん坊

Hさんは、みるくちゃんに2度ほど会ったことがあったが、それから会うこともなく、妹が引っ越す時に再会した。Hさんは、「大きくなったなあ、小さい頃に比べたら目が良くなったなあ」と思った。

みるくちゃんは、とても人懐っこく、めちゃくちゃ甘えてきて可愛いかった。Hさんは、その日の夜に夫にみるくちゃんのことを話して、写真を見せた。夫は「ぜひ会いたい」と言った。みるくちゃんは夫にもすぐに懐き、盲目であることが気にならないほど可愛らしかった。夫はその場でノックアウトされ、メロメロになった。

しかし、やはりハンディキャップのことは気になった。Hさん夫妻は妹と、みるくちゃんの世話や、今後かかるであろう治療費について話し合い、承知の上で引き取ることにした。もともとHさんも夫も幼い頃から猫を飼っていて、「いずれ飼えたらいいね」と話していた。

2020年5月、みるくちゃんを迎えてケージに入れたが、鳴きっぱなしだったのでケージから出した。妹の家とは雰囲気が違うのか、甘えはするが大人しかった。最初の行動範囲はリビングのみ。ソファーの登り下りはスロープを使って練習したが、慣れるとスロープなしでできるようになった。

妹から聞いていた通り、おしっこはほぼトイレでできるが、うんちは所かまわずしていた。Hさんは決して怒らず、排泄できたことを褒め、根気よくトイレの場所を教えた。今ではほぼトイレでできるという。

盲目でも幸せ

性格は人懐っこいく、Hさんの友達が来ると、スリスリゴロゴロ、構ってが止まらない。宅配便の人にもすり寄っていく。

近くの動物病院をかかりつけにしたかったので、動物病院を変えて血液検査をしてもらったら、猫エイズは陽性だったが、猫白血病は陰性になっていた。Hさんは安堵した。

みるくちゃんを迎えてから、夫婦の会話がとても増えた。何気ない仕草やちょっとした行動に癒される。みるくちゃんは笑顔や幸せを運んで来てくれる。

「部屋をきれいにするようになりました(笑)。床に物を置かない、模様替えをできる限りしない、大きな音を立てないなど、とにかくみるくにストレスがかからない生活を心掛けています」

Hさんは、盲目でも多少の気遣いでハンディキャップのない子と変わらずに過ごせる。猫を飼うことを考えている人は、ハンディキャップのある子についても検討してほしいと言う。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)