地域の情報サイト「ジモティー」を通じて子猫の譲渡が行われた際、虐待などを目的に「里親になります」と偽って猫を譲り受けようとする“里親詐欺”と疑われるトラブルが2月下旬に起きていたことが分かりました。

子猫を譲渡した保護ボランティアによると、譲渡してから4日後、譲渡先の人物から瞳孔が開いていると見られる子猫の写真が送られてきたとのこと。虐殺を疑った保護ボランティアはすぐに譲渡先に向かいましたが、子猫の譲渡を受けた人物からは「逃げた」と説明されたといいます。110番通報で警察が駆け付けたものの、証拠となる遺体が見つからなかったため、その場では追及できなかったそうです。

サイト運営会社は、該当者の利用制限など追加対策へ

今回のトラブルを受けて、情報サイト「ジモティー」を運営する「株式会社ジモティー 」(本社:東京都品川区)は以下のように説明しています。

「今回の件については、悪意をもって当社のサービスを利用し、動物の命が失われるという事態が起きていることが問題だと認識しております。

当社としては、このような事態に対しては、毅然とした態度で対応するべきだと考えております。現在、該当の人物のアカウントの利用制限及び、それらに利用された身分証や電話番号など認証情報では再度登録ができないような制御を実施いたしました。また警察の担当者の方と連絡を取り、警察からの要請があれば、譲渡先の人物について情報提供をさせていただきたい旨をお伝えしています。

これまでにも当社では、里親カテゴリにおいてより安全にサービスを使っていただけるよう、本人認証を強化する、同意いただく項目を増やすなど、対策を強化してまいりました。今回の件を受けて、追加の対策を講じる予定のほか、今後も利用者それぞれが健全に使っていただける場となるよう、継続して改善を続けていきたいと考えております」

譲渡して4日目 虐殺が疑われる写真が

トラブルとなったのは2月下旬。保護ボランティアによると、2月初旬ごろにキジ柄の雄猫と三毛柄の雌猫2匹の子猫兄妹(生後4カ月ほど)を保護したあと、「ジモティー」を介して東海エリアで里親を募集。「2匹とも引き取る」と問い合わせてきた人物に譲渡することを決めたといいます。

譲渡当日の2月21日、保護ボランティアが譲渡先に足を運び、子猫2匹を受け渡しました。その夜、譲渡先の人物から連絡が来なかったため、子猫たちの様子を知りたいと伝えたところ、「餌やトイレがまだ」とのメッセージとともに子猫たちの写真が送られてきたそうです。

そして譲渡から2日目、餌を食べたかどうかを心配した保護ボランティアは再度問い合わせました。すると、譲渡先の人物から「何も食べずに隠れんぼ中」というふざけたような返信が…。不安になった保護ボランティアは「餌を食べないのであれば子猫たちを返してほしい」と電話で直接連絡。その人物は「所有権は私にありますから、返す気は一切ないので返しません」と電話越しで切れたような言葉を吐いたとのこと。

最終的に保護ボランティアが「猫ちゃんの体調が悪いと心配なので引き取りたいです」と詰め寄り、譲渡先の人物は「それなら工夫して何とか餌を食べさせますので」と応じたことから、「何かあれば連絡をください」などと伝えて保護ボランティアは電話を切ったそうです。その翌日、譲渡先から「ミルクと餌を食べた」との連絡が入ったものの、子猫たちの写真を求めましたが返信は一切なかったといいます。

譲渡から4日目の2月24日、保護ボランティアは子猫たちの写真が譲渡先の人物から送られてこないなど不誠実な対応に不信感を抱き、子猫たちを引き取ることを連絡。しかし、譲渡先の人物が「夜勤だから今からは渡せません」「日時はどうするか少し考えさせて下さい」などと答え、引き取りの日程をはぐらかしていたところ、1枚の写真が送られてきました。それは血の付いたクッションに瞳孔が開いたような表情で横たわるキジ猫の写真だったのです。

写真を受け取った保護ボランティアは正気を失いながらも譲渡先に急行したといいます。自宅前に到着すると譲渡先の人物が立っていましたが、保護ボランティアと目が合うとすぐに部屋に入り出てきませんでした。しばらくしてその人物が目を泳がせながら挙動不審な様子で出てきたところを保護ボランティアが追及。そのときは「申し訳ないことをしたと言おうと思ったけれど言えなかった」などともらしたそうです。

110番通報で駆け付けた警察も子猫を見せるように問い詰めましたが、譲渡先の人物は「逃げた」と答えるだけ…。警察とともに保護ボランティアも室内に入り探したもののキジ猫を見つけることができず、おびえるように三毛猫がトイレに隠れていました。三毛猫のみを保護して譲渡先を後にしたといいます。

ボランティア「人当たりも良さそうな人。譲渡するまで疑わなかった」

「血の付いたクッションが洗濯機の中に入っていましたが、警察によると、猫の血だとしても遺体がないと証拠にならないそうです。なので、その場では子猫を虐殺したかどうか分かりませんでしたが、遺体を隠した可能性があります。警察には捜査をお願いしていますが、今のところ大きな動きはありません」と保護ボランティア。

一方で「譲渡のやり取りをしたサイト『ジモティー』には詳細を報告。トラブルのあった譲渡先の人物の再登録を防いでいただくとともに再発防止などをご検討されているようです」と説明します。

さらに、譲渡先の人物について、保護ボランティアはこう振り返ります。

「兄妹で仲良しだった2匹ともに引き取ってもらえる、結婚をされていてご夫婦でかわいがってもらえるということを伺っていました。過去に猫の飼育経験もあるといい、我が家からも近い場所だったので、様子も見られるということもあり里親に決めたのですが…。電話でやり取りをしていても物腰が柔らかくて人当たりも良く、譲渡するまでは全く疑うことはありませんでした。

ただ、事前に譲渡先を見学していたもののその方の事務所で住まいは別の所にあるということや、譲渡の際に猫を飼っていなかったのに口の開いたキャットフードが置いてあったことなど不審な点が今思えばありました。また独身なのに結婚しているなどと偽っていたのかもしれません。これまでもサイトを通じて保護猫たちが幸せになっていったので本当に信じ切っていましたが、こちら側の確認不足もあったかと思います」

 保護ボランティアによると、譲渡先の人物は既にサイトを退会しましたが、トラブルが起きた2月24日ごろまでは猫を譲り受けようと他のボランティアにも問い合わせをしていたといいます。

サイト運営会社「譲渡契約書の締結などをあらためて啓発」

運営元のジモティーによると、地域の情報サイト「ジモティー」では、やむを得ず手放すことになった犬や猫などの命を「救って欲しい方」と「救いたい方」をつなぐ場として、「里親カテゴリ」を運営。現在、年間約7000頭の犬や猫がジモティーを通して譲渡されているといいます。

サイト内の「里親カテゴリ」については、投稿者、問い合わせ者ともに会員登録時に性別・生年月日の登録、電話番号または身分証による本人認証などを実施。投稿者側には犬猫の性格や特徴、健康状態、避妊・去勢手術の有無、ワクチン接種、募集に至ったやむを得ない経緯などの必須事項の記載をお願いしています。さらに、問い合わせ者側にも飼育環境、家族構成と年齢層、自宅訪問可否などの記載とともに、飼育放棄をしないこと、譲渡した側やジモティー側が希望した場合は譲渡を受けた動物の様子がわかる写真を送付することなどの同意が必須となっているといいます。

さらに、利用者同士で譲渡契約書(※)を取り交わすことも必須条件として促しており、多頭飼いによるトラブルを防ぐため投稿者側が譲渡完了のボタンを押すと、一度譲渡を受けた人が複数回問い合わせすることができないような仕組みにもなっているそうです。

今回のトラブルが起きた背景について、ジモティー側は「譲渡したボランティア様に確認したところ譲渡契約書の締結は行っていないことが確認されております。同時に、譲渡完了のボタンを押しておりませんでしたので、該当の人物が問い合わせできる状態となっておりました」とした上で、今後の対策として「投稿者全員に対して譲渡完了時の完了ボタン押していただけるようにあらためて啓発するとともに、投稿者、問い合わせ者双方への譲渡契約書の締結を強く促していくよう努めて参ります」と話しています。

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サイトなどを通じた動物の譲渡で気を付けることとは?

子猫を譲渡してトラブルが起きたボランティアさんは、今回の件について猛省され、広く動物愛護活動をされる方からアドバイスを受けたとのこと。そのことを踏まえ、譲渡の際に気を付けることをまとめたそうです。これからサイトなどを通じて動物の譲渡などをご検討されている方にも読んでいただければ幸いです。

▽独身者への譲渡(結婚していると嘘を付かれている可能性もあるので、必ず譲渡の際はご夫婦揃ってご同席してもらえるようお願いする)。

▽譲渡契約書を必ず書いてもらう。

▽譲渡後、本人と動物との写真を撮ってもらうなど連絡報告を長期にわたり依頼。

▽ペット可のアパートやマンションかどうか確認を行うため、譲渡予定先に事前に足を運ぶ。

▽物腰が柔らかく、動物好きだと装っている人もいる。例えば、「親族に動物病院関係者がいる」「トイレを準備している」「ペットタワーもこれから買う」などと信用させるようなことを言う人には要注意。

インターネットによる動物の譲渡は、お互いのモラルや信頼関係によるところが大きいです。“命”を粗末に扱うような取引が行われないよう切に願います。

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(※)【譲渡契約書】該当動物を愛玩動物として生涯育成し、適切な食料、医療行為、生活環境を提供することなど譲渡に関わる契約を結ぶもの。このほか、脱走防止のための管理を怠らない。万一該当動物が逃走し、行方不明になった場合、速やかに甲に連絡をし、警察、保健所、動物愛護センターに届け出ることなどが記載されている。

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)