JR九州は、2021年3月1日にオンラインツアー「JR九州初!久大本線全線開通当日をゆふいんの森号乗車気分で味わうオンラインの旅」を開催した。

昨年7月の豪雨の影響により、橋りょうの流失や橋脚の傾斜を含む計145カ所で被害があり、被災当初は日田ー向之原間で列車の運転を見合わせていた久大本線。復旧が完了した区間から部分的に運転を再開し、最終的に3月1日の豊後森ー由布院間の復旧をもって全線で運転再開となった。今回のオンラインツアーではそんな久大本線の運転席展望のライブ配信のほか、博多駅での出発式、復旧工事の説明動画なども配信された。

定員75名という貴重な枠を見事勝ち取った参加者の「しゃもじ」さんは興奮を込めて語る。

「運転席からの前面展望を楽しめたり、他の参加者さんのチャットを見ることができました。博多駅での出発式から参加できたことも嬉しかったです。今回のようなオンラインツアーがあればまた有料であっても費用があえば参加したいと思いました。今回のツアーを通して、実際に『ゆふいんの森』へ行きたい気持ちが高まりました。」

復旧までにあった苦労について、またどのような経緯でオンラインツアーが企画されたのかJR九州の広報担当者にお話を伺ってみた。

橋本菜津美(以下「橋本」):豪雨で被災した久大線が全線復旧するには沢山の苦労があったと思いますが、運転再開にいたる経緯を教えていただけますか。

JR九州広報部:被災箇所が河川沿いや山間部に集中しており復旧工事にあたっては、工事用車両や重機が線路に近づくための場所や道がなく、森を切り開いたり、一般の方の土地をお借りしたりしながら工事を進めました。 また、河川内での復旧工事(特に第一野上川橋りょうの橋脚傾斜、第二野上川橋りょうの流失)に関しては、基本的に非出水期(11月〜5月)にしか施工できないため、工事計画の検討や工事工程の調整などに苦慮しました。しかし、河川管理者である大分県のご協力もあり、工程調整もスムーズに進みましたし、社内でも復旧体制を整え、早期に運転を再開できました。

橋本:被災から約8カ月というスピーディーな運転再開の裏には多くの方の協力があったのですね。今回オンラインツアーを企画された経緯をお聞かせください。

JR九州広報部:コロナ禍で鉄道利用及び旅行需要が激減する中、今後の「新しい旅の形」として、当社ならではのオンラインツアーに挑戦したいと博多駅担当者が発案し、旅行商品造成箇所へ相談したところ、当該箇所もオンラインツアーについて検討しており思惑が一致し、実行することにしました。内容については、当社ならではの特徴を出すにあたり、D&S列車がまず候補に挙がった中、8カ月ぶりの 久大本線全線開通の日に実施することに加え、沿線の魅力を発信するだけでなく、沿線の皆様とつながる喜びを共有し、元気を提供できる絶好のタイミングだということで、40日という短い準備期間の中、挙行することとしました。

橋本:わずか40日間で準備を仕上げたのですね…!オンラインツアーの反響はいかがですか。

JR九州広報部:今回のオンラインツアーはアンケートの結果からもツアー参加者は比較的満足していただけたと思っています。ただ今後造成するオンラインツアーに対する要望も多く、期待が大きいということも強く感じました。初めてのオンラインツアーの実施でしたが、実際に乗車しないオンラインツア ーでも、鉄道の魅力を伝える事ができ、JR九州のファンの拡大にもつなげる事ができたと思っていま す。今回のオンラインツアーに参加した方が実際に「ゆふいんの森号」に乗車していただけるのを期待しています。

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コロナの影響で多くの鉄道イベントが中止となる中、オンラインでこのようなイベントが開催されたことは私も鉄道ファンの一人としてとても嬉しい。この日の様子は編集を経て後日YouTubeの博多駅チャンネルにて配信されるとのこと。ぜひ多くの方に視聴していただきたいと思う。

(まいどなニュース特約・橋本 菜津美)