SUNくん(生後6カ月・オス)は、へその緒がついたままの状態で幼稚園の倉庫の中で鳴いていた。鳴き声を聞いた先生たちが保護したので、子猫は一命を取り留めた。しかし、生まれたばかりの小さな子猫を飼える人がいなかった。

倉庫から子猫の鳴き声が

2020年10月3日、千葉県に住むSさんは、娘が通う幼稚園の先生から「誰か周りに猫を飼ってくれる人はいないか」と、相談の連絡を受けた。

園庭にある倉庫から子猫の鳴き声が聞こえたので先生が中を確認したところ、まだへその緒がついたままの小さな子猫が1匹で鳴いていたという。生まれて間もないようだった。当時、Sさんは猫を2匹飼っていたが、すぐに思いつく知り合いはいなかった。
「ひとまず家族で幼稚園に子猫を見に行きました。私たちが到着した時には、すでに先生方がダンボールにタオルを敷いて子猫を入れ、お湯を入れたペットボトルで保温してくれていました」

2匹も3匹も一緒

子猫は想像以上に小さく、最初見た時、Sさんは本当にびっくりした。目も開いておらず、泣き疲れたのかほとんど動かずにぐったりしていた。「飼う、飼わないは別にして、絶対にこの命を絶やしてはいけない!この子が生きるために私に出来ることはなんでもする!と思いました」

前日にも先生が倉庫の中を見る機会があったが、その時は子猫の姿はなかったそうだ。前日の夜か朝方に産まれたのではないかということだった。保護した後、先生の中で子猫を飼える人がいないか話し合ったそうだが、飼える人がおらず、Sさんが猫を飼っていることを知っていたので、相談することにしたそうだ。

その場でSさんは、夫と2人の子どもたちで家族会議をした。子どもたちは「飼いたい!飼いたい!」と言うばかりだった。最終的に夫が、「2匹も3匹も一緒だ」と子猫を受け入れる決断をしたため、子猫を家に連れて帰ることになった。

帰りの車内で子猫をなでながら「怖かったね。さみしかったね。もう大丈夫だよ」と何度も話しかけた。子猫もホッと安心したかのように見えた。

猫との暮らしは命の授業

Sさんは、2匹の先住猫、そうくん(推定4歳)とふくくん(1歳)が受け入れてくれるかどうか心配だった。もし受け入れられなかったら、里親を探さねばならないと思った。しかし、2匹は難なく子猫を受け入れた。

名前は、保護した日(産まれた日)が10月3日で、その日は娘の運動会があり、障害物競走で3位をとったこと。太陽(SUN)のようにみんなを温かく包み込む存在になるようにという願いを込めてSUNくんにした。

「もともと先住猫がいたのでSUNくんを迎えて何か変わったということはあまりありませんが、生まれたての子猫のお世話を子どもたちと一緒にすることで命の授業ができていると感じることがたくさんありました」

息子くんは保護猫を飼うことでTNRのことや保護猫活動に興味を持ち、自由研究や学校の授業でそのことについて調べ、知りたい、学びたいという意欲を見せるようになった。娘ちゃんも猫を飼い、お世話をするようになってから小さい子に優しくなったような気がするという。

猫たちは子どもたちと同じ部屋で寝るのだが、「昨日は私の足元で寝てくれたー!」とか「僕のお布団に入ってくれたよー!」などと嬉しそうに話す。そんな2人の姿を見ると、Sさんは猫を飼って本当に良かったと思っている。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)