「西表」…この名字、読めますか? 姓氏研究家・森岡浩氏が日本人の難読名字を紹介します。

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西表島と書いてあると正しく読める人は多いが、「西表」までだとつい「にしおもて」と読んでしまうことが多い。種子島には西之表市という市もあるが、「西表」は沖縄の名字だ。

沖縄本島のさらに南西に連なる先島諸島の、観光地として有名な西表島が「いりおもてじま」と読むように、「西表」という名字の読み方は「いりおもて」である。

沖縄では、太陽が海から上がってくる東の方角のことを「あがり」と読むことは以前この欄で紹介した。そこから生まれた名字が沖縄に多い「東江(あがりえ)」という名字だ。「東」を「あがり」と読むのならば、「西」は何かというと、太陽が海に入っていく方角のため「いり」という。従って、「西表」と書いて「いりおもて」となる。もちろん西表島に由来する名字で、現在は石垣島と竹富島に集中している。

「西」を「いり」と読む沖縄の名字には、この他にも「西門」(いりじょう)や「西筋」(いりすじ)などがある。

◆森岡 浩 姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部卒。学生時代から独学で名字を研究、文献だけにとらわれず、地名学、民俗学などを幅広く取り入れながら、実証的な研究を続ける。NHK「日本人のおなまえっ!」にコメンテーターとして出演中。著書は「47都道府県名字百科」「全国名字大事典」「日本名門名家大事典」など多数。