「三十日」…この名字、読めますか? 姓氏研究家・森岡浩氏が日本人の難読名字を紹介します。

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旧暦では1カ月は原則30日で、30日は月末であった。20日を「はつか」というように、30日は「みそか」と呼ばれた。しかし、名字としての「三十日」は「みそか」ではない。この名字、「三」と「十日」で分かれるのだ。「三」は「み」で、「十日」は「とおか」。従って、「三十日」で「みとおか」と読む。

由来は、おそらく暦の「三十日」とは関係がなく、読みに対してあとから漢字をあてたものだろう。

「三十日」という名字は岡山市と広島県呉市にある。実は、岡山市には「水戸岡」や「三戸岡」という名字がある。分家する際に、同じ漢字のままで読みを変えたり、同じ読みのままで漢字を変えることは、全国的に珍しくなかった。岡山市の「みとおか」さんの一族が漢字を「三十日」と変えたのが由来ではないだろうか。

同じように、広島県呉市の近くの江田島には「御堂岡」(みどおか)という名字があり、同市の「三十日」は、ここから漢字を変えた可能性が高い。

なお、「三十日」と書いて「みそか」と読む家もある。

◆森岡 浩 姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部卒。学生時代から独学で名字を研究、文献だけにとらわれず、地名学、民俗学などを幅広く取り入れながら、実証的な研究を続ける。NHK「日本人のおなまえっ!」にコメンテーターとして出演中。著書は「47都道府県名字百科」「全国名字大事典」「日本名門名家大事典」など多数。