「そもそも着物に高額買い取りなどありません」「着物買い取りにおける被害者を減らしたい」。京都にある帯の仕立て業者によるツイッターやホームページでの注意喚起が、話題になっています。悪質な業者が買い取り希望者の家を訪れ、着物を二束三文で購入したり、売るつもりのない貴金属を無理やり売らせたりする訪問購入のトラブル。以前からあるトラブルですが、今あらためて注意を促した業者の思いを聞きました。

 書き込んだのは、京都市北区にある帯の仕立て業者「みつやま」のウェブ担当者の男性(47)です。

 男性は、ホームページで「そもそも着物に高額買い取りなどありません」などと書きました。さらにツイッターでも書き込みの内容を紹介したところ、9千回以上リツイートされました。

 こうしたいわゆる「押し買い」トラブルは以前から発生しています。新聞でも、10年ほど前から「貴金属買い取りご用心」という記事が掲載されています。では、なぜ今再び注意喚起の書き込みをしたのでしょうか?

 男性は「最近も押し買いトラブルを耳にしたからです」と言います。

 「みつやま」には約40人の従業員がいますが、男性が最近聞き取ったところ、このうち6人が「着物を自宅まで買い取りに来てもらったが、指輪や時計はないですかとしつこく聞かれた」「ティッシュをあげるから着物を見せてほしいと自宅に突然の訪問があった」などと答えたといいます。

 着物販売の事情に詳しい男性は「どんなにいい着物でも、今は中古の着物の市場が価格崩壊してしまっており、高価で買い取ることはできない。少しでも被害を防ぐためにも、ホームページやツイッターで啓発したいと思った」と話します。

 国民生活センターのホームページによると、こうした「訪問購入」のトラブルは2017年度8431件、2018年度6653件、2019年度5249件と減少傾向にあります。しかし、2020年度は上半期だけで前年同期よりも多い2463件となっており、注意が必要です。

 京都市消費生活センターの統計でも、年に40〜70件程度の「押し買い」の相談が寄せられているといいます。最近では訪問の約束を取り付けず、いきなり家を訪れ、貴金属などを買い付けようとするトラブルも発生しているそうです。

 センターは「約束せず押しかけるのは違法行為。突然、業者が尋ねてきてもきっぱり断ってください。帰らなければ警察に通報してもらいたい。困ったときは消費者ホットライン188に電話してください」と呼び掛けています。

(まいどなニュース/京都新聞・浅井 佳穂)