京都や滋賀では、一年のうち4月の空気が一番乾いている。意外に思うかも知れないが、秋晴れが続く秋でも、肌荒れが気になる冬でもない。

 気象庁のデータによると、京都市中京区の月平均湿度は、4月が59%で年間を通じて最も低く、最も高い梅雨時の7月(70%)とは差がある。海や湖に近く湿気が多い舞鶴市と彦根市も、4月は平均湿度70%で一年を通じて最も低い。3都市はそろって、2001年4月23日に観測史上最低となる湿度6%を記録している。

 4月の空気が「カラカラ」なのは、京滋だけではない。47都道府県庁所在地の月平均湿度は、北日本や西日本の26都市で4月が最低となる。一方、関東や九州地方は、1〜2月の方が湿度が低い。なぜ「乾燥のピーク」は地方で傾向が分かれるのだろう。

 大阪管区気象台によると、4月は大陸から乾いた空気を運んでくる移動性高気圧に覆われる日が多く、よく晴れて湿度が下がる。この状況は全国的に同じだ。

 だが、1〜2月の関東地方は、北西の季節風が日本アルプスや越後山脈など2千〜3千メートル級の山で雪を降らせた後、乾いた「からっ風」として関東平野に吹き下ろすため、4月より乾燥する。一方、近畿地方の季節風は、丹波高地や比良山地など千〜千五百メートル程度のそれほど高くない山を越えるため、真冬も関東地方ほど乾燥しないという。

 空気の乾燥で懸念されるのは火災だ。京都市消防局は「春は野焼きやたき火による火災が増える。乾燥する上に風も強く、一度発火すると延焼しやすい」と注意を呼びかける。京都市の3、4月の平均風速はともに1・9メートルで、台風シーズンの8月(2メートル)に次いで年間で2番目に強い。

 歴史的にも「大火」と呼ばれる火災は、3〜4月に多く発生している。京都市では、京都3大大火と呼ばれる宝永の大火(1708年4月)と天明の大火(1788年3月)がある。他にも、南丹市日吉町の殿田集落をほぼ全て全焼させた大火(1941年4月)、高島市今津町で80戸を焼いた大火(1881年3月)などがあった。

 さらに、移動性高気圧は乾いた空気とともに、黄砂や花粉をよく運ぶ。気象庁によると、湿度が40%以下では、のどや鼻、目が乾きやすくなり、黄砂や花粉の影響を受けやすくなる。穏やかな春の好日、空から届くやっかい者は意外と多い。

(まいどなニュース/京都新聞・辻 智也)