猫がおいしそうに食べているウェットフード=猫缶。猫を愛するがあまり、「一緒に食べてみたい」と思ったことはないだろうか?筆者はある。そして実際に食べてみて「これは人間が食べるものではない」と当たり前のことを思った。

猫缶は猫が食べるもの――。そんな常識を覆す商品がパウダートレーディング(京都府木津川市)から誕生した。その名も「NEKOKAN」だ。

どうだろう、このパッケージデザイン。猫缶にしか見えないではないか。しかし中身は人間用の魚の水煮で、塩抜きすれば猫も食べられるという。「猫と一緒に猫缶が食べてみたい」という、猫好きのひそかな夢を叶えてくれる缶詰だ。

使われている魚は、いさき、とびうお、ほうぼう、すずき、にぎす、れんこだいの6種。聞き慣れない魚ばかり…と思うだろうが、それもそのはず。これらは、知名度が低い、規格外のサイズ、傷がついているなどの理由で、食べられるのに廃棄されてきた「未利用魚」だから。

「この商品を見たり、買ったりされる“誰か”を笑顔にしながら、破棄される魚の削減につながるような商品を作りたいと思ったのです」と話す、小永剛史代表。そこで浮かんだのが、魚が大好物である猫だという。

食べられる魚が捨てられてしまうことは猫にとってももったいないこと。さらに、猫好きな友人たちから「猫と一緒に猫缶を食べてみたいと思ったことがある」という意見をもらったことから、人も猫も食べられる缶詰をコンセプトに据え、デザインを猫缶風に仕立てた。

使われている魚はスーパーなどではあまり見かけない種類ばかりだが、水揚げされた地元では一般的に食べられているものばかり。

たとえば「ほうぼう」は旨味、甘みのある濃厚な味わいが特徴の白身魚で、いい出汁が出ることからトマトを使ったスープやソースと相性が良い。「すずき」は淡白な白身魚で、マヨネーズやハーブと混ぜ合わせればサンドイッチの具にもぴったりだ。

「どう調理すればいいのかわからない」という人のために、それぞれの魚を使ったレシピ集も用意。骨まで食べられるよう加工されているので、子どもからお年寄りまで安心して食べられる。

ただし、缶詰の汁には多くの塩分が含まれているため、猫に与える場合は汁気をしっかりと切り、ザルの上で熱湯を回しかける、沸騰した湯で魚を2分ほど茹でる――などの塩抜きを。このひと手間をかけることで、猫も人間も同じ猫缶を安心して楽しめる。

また、売上の3%は、保護猫カフェを運営する「ネコリパブリック」に寄付される仕組み。おいしく楽しくフードロス削減に貢献しながら、猫の命をつなぐ活動もサポートできるのだ。

「水揚げされた魚のうち、推計で約20〜30%が流通にのらない未利用魚になっていると言われています。猫ちゃんもきっとそう思っているように『お魚を捨てるなんてもったいニャい!』と感じていただければ、魚のフードロス削減につながっていくはず。この商品が、楽しみながらフードロス問題を知るきっかけになり、未利用魚が少しでも利用されるようになっていくとうれしいですね」(小永代表)

購入はオンラインショップから。価格は6個セット3,780円(税込)〜。

(まいどなニュース特約・鶴野 ひろみ)