大阪・なんばから和歌山、高野山、関西空港などへの路線を持つ南海電気鉄道は4月3日から、入出場時にクレジットカードを自動改札機にかざすだけで運賃支払いができる実証実験を開始した。

16の駅に専用改札機を設置。Visaのタッチ決済機能があるカードやスマホをかざすだけで、改札通過と運賃の精算ができる。クレカをピッ!とするだけで、自動改札機が通れるのは意外にも南海電鉄が日本初の試みとなった。

実証実験は12月12日までの予定。同社鉄道営業本部の辻本教秋さん(49)は、1日約26万人の乗降客がいるなんばなどのターミナル駅や無人駅、ラッシュ時などで実用に耐えうるかを確認し、本格導入につなげたい考えだ。

日本では、SUICAやICOCAなど、交通系ICカードが主流。Visaカードのタッチ決済を使った自動改札機での運賃精算はオーストラリア、シンガポールなどの公共交通機関で導入されているという。

現金チャージなしで電車に乗れるのはとても便利。だが、SUICAやICOCAが百花繚乱の中、南海電鉄が改札でのクレカ決済を導入しようとする理由は?

辻本さんによると、コロナ禍以前のインバウンド(訪日外国人旅行者)景気では、関西空港駅の券売窓口などに長蛇の列ができ、外国人客を長時間待たせる事態がたびたび発生したという。

コロナ収束後や2025年の関西万博開催を見据え、接触機会の低減につながるキャッシュレス決済推進を目的に2020年夏からプロジェクトが立ち上がった。日本の交通系ICカードを、外国人に購入させるにはハードルが高く「クレジットカードなら、自国のカードで直接乗り降りできる」(辻本さん)と説明する。

2019年度に1日平均約3万5000人いた関西空港駅の乗降客数は、1万人以下まで落ち込んでいるという。鉄道業界も苦境に立たされているが、辻本さんは「我々もコロナの影響を受けたが、守りの姿勢だけではなく回復後を想定して、新しいことにチャレンジする。新しいことに取り組んでいく姿勢を見せたい」と、別の狙いも強調した。

南海電鉄では、アプリ上でチケットを事前購入し、スマホに表示されたQRコードを自動改札機にかざすことで入出場できる「南海デジタルチケット」を試行。第1弾として、午前9時以降に利用できる「時差通勤応援きっぷ」を発売している。

辻本さんは「社会的に、非接触のサービスは今後求められ続ける」と話す。アフターコロナを見据える南海電鉄。きっぷうりばに長蛇の列ができる光景は、過去のものになるのか…?

(まいどなニュース/デイリースポーツ・杉田 康人)