患者が飲み残した千錠を超える薬を敷き詰め、1枚の絵のように仕上げた「残薬アート」を岡山県玉野市の薬局が制作した。モチーフは海沿いにある景勝地・王子が岳(玉野、倉敷市)の奇岩で、人がにっこり笑っているように見える「ニコニコ岩」。展示を通じ「薬を残さず飲めば病状が改善し、無駄な医療費の削減につながる」と呼び掛けている。

 残薬は、主に飲み忘れで生じるとされ、日本薬剤師会が75歳以上の患者約800人を対象に行った調査によると、飲み残しの薬剤費は推計で年間約475億円。残薬アートを制作したダテ薬局(玉野市)の薬剤師は「お年寄りの服薬状況を心配する家族やケアマネジャーの依頼で自宅を訪ねると、数百錠、数千錠残っていることがある」と打ち明ける。

 今年に入り、薬局のスタッフで残薬解消に向けた効果的な取り組みを検討。同市の宇野港に展示されている、ごみで作られたカラフルな魚のオブジェ「宇野のチヌ」を参考に、患者から廃棄依頼を受けた使用期限切れの錠剤を色別に組み合わせ、モザイク画にすることにした。

 縦55センチ、横130センチの板に、茶系色の包装に入った錠剤を貼り付けてニコニコ岩を表現。王子が岳は緑系、瀬戸内海は青系で彩り、同薬局日比店(同市)で3月から展示している。残薬を減らせば、薬代を軽減できると呼び掛ける張り紙も掲げた。

 残薬問題に詳しい森英樹・県病院薬剤師会長代行は「医療費の無駄を生む長年の課題をアートで分かりやすく社会に訴えてくれた。薬を残さず飲めば病気が良くなるのだから、何より自分のためになる」と話している。

(まいどなニュース/山陽新聞)