きなこちゃん(メス・1歳)は、2020年6月5日、工事現場の溝にはまって鳴いていた。母猫の姿は見当たらず、どこから来たのか、はたまた誰かに捨てられたのか分からない。工事現場で働いていた人がきなこちゃんを見つけて、自力では出られそうになかったので保護した。抵抗する様子もなく、人を怖がることはなかった。

保護主の男性はすぐに動画を撮って恋人に送り、引き取り手がいないか探してもらった。猫好きの増田さんのところにも連絡があり、「実家で飼えないか」と相談された。

「猫好きの夫は二つ返事でOK。私たちは、もともとペットショップの猫ではなく保護猫を飼おうと考えていました。私たち夫婦が仕事で留守にする間、実家の両親が面倒を見ると言ってくれたので飼う決心をしたんです」

増田さんの実家では保護猫を飼っていたが、1匹は数年前に天国へ、増田さんが保護した猫は2019年4月に天国へ旅立ってしまった。そのため増田さんや両親は、軽いペットロスに陥っていた。そこへ舞い込んできた子猫の話。実家には亡き猫の猫用品も残してあったので、何ら問題はなかった。増田さんは、その日のうちに子猫を引き取りに行った。

イケメンにキュン!

友人からの動画を見せられた時、「めちゃくちゃ美形!」だと思った増田さん。きなこちゃんは女の子だが、友人が家に連れてきてくれた子猫は宝塚歌劇団の男性役のように「イケメン」で、すっかり心を奪われた。

保護当時はサイズ的に生後1カ月くらいだと思っていたが、翌日動物病院で1カ月半〜2カ月くらいだと言われた。

名前は悩みに悩んだ。ストロベリームーンの日に来たので「いちご」だとか、肉球がピンクと黒だったので「アポロ」だとかいろいろ考えたがどれもしっくりこなかった。毛色や顔にピッタリ合う呼びやすい名前がいいと思い、その時にハマって食べていたローソンのおやつ、“きなこくるみ”から取ったという。

コロナ禍、短時間でも両親に会える

きなこちゃんは小さい頃は噛みグセがひどくて、増田さんの手は肘から下がボロボロだった。

「兄弟猫とじゃれて過ごす時期にひとりぼっちだったので甘噛みを知らないんです。噛まれたら『痛いよ!』って言い聞かせたり、水スプレーしたり、無視したり…甘噛みできたら褒めたりして少しずつ甘噛みができるようになってきた感じです」

今でも爪切りなど嫌なことをされたり、要求があったりする時は噛んでくるが、最初の頃に比べるとずいぶん減ったという。

典型的ツンデレ猫で、甘えん坊の女王様。気が強くて負けず嫌いだ。しょっちゅう増田さんの太ももの上で寝るし、増田さんがお風呂に入っていると、ひとりぼっちが嫌なのかドアの前でじっと待っているという。

きなことちゃんを迎えて増田さんは、「動物を飼うと制限されることも多いですけど、やっぱり猫は癒やされます。もともと笑いの絶えない夫婦なんですが、きなこのおかげで楽しいことが増えました」と言う。

コロナ禍、実家に行く機会も減ったが、きなこちゃんを預けに行ったり迎えに行ったりする時、短時間ではあるが両親の顔が見られるので安心できるそうだ。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)