サンマ、ニジマス、サケ、カツオ、マグロ、本物と見間違えるほどそっくりな見た目のお魚たち。実は猫用のおもちゃで、「スマック じゃれぐるみ」というぬいぐるみだ。「うちの子メロメロ」という謳い文句も納得で、ぬいぐるみの中には猫の大好きなまたたびが入っている。無農薬100%の“ブツ”が内包されていることから、猫が気に入らないわけがない。

そんなリアルなお魚ぬいぐるみの売れ行きに今月中旬、異変が起こった。5種類のぬいぐるみのうち、ニジマスだけが「在庫なし」と、ことごとくネットショップから姿を消していったのだ。この怪現象について、あるショップにたずねてみた。

Yahoo!ショッピング、楽天市場、au PAY マーケットに出店しているペットガーデン紀三井寺の店員によると、「ある方がSNSで紹介して、その写真がニジマスだったので、ニジマスばかり注文がきているんだろうと思います」と、分析。この店では2年ほど前から同商品を扱っているが、これまでの売れ線はマグロ、カツオだったという。突然のニジマス人気の原因はSNSでの発信で間違いないようだ。

その発信をした人こそ、4匹の猫を飼っているコンドリア水戸さん(@mitoconcon)だった。「ホームセンターに行ったので猫へのお土産になんだかリアルな魚のぬいぐるみを買ったらボスが初めて自ら遊んでいた。いつも控えめなボスにしては珍しく、他の兄弟に取られないようにしっかり両手でキープしてて可愛い。このぬいぐるみ中身の詰め物は無農薬またたび100%というヤバいブツ。ヤバ過ぎるぜ。」と16日にツイートしている。

ぬいぐるみの中には100%無農薬のまたたびが入っているだけあって、猫たちには大好評だった。なかでも普段は自己主張しないボス(キジシロ)が珍しく「これはボクのもの」と言わんばかりにアピールしたという。

その後も「ボスに渡した後、まだ遊び足りなかったキジシロが貸してもらおうと近づいた時のボスの反応がおかしくて笑ってしまった。普段あまり自己主張しないので、こういうボスを見るとちょっと嬉しくなるなぁ。」と連続ツイートした。

それらの投稿を見た他の猫飼いツイ民たちが、そんなに楽しいのなら「ウチの猫にも」と競ってネットショッピングで購入を始めるのも無理はない。やがてあちこちのネットショップからニジマスがなくなっていった。

運よく購入できたユーザーからコンドリア水戸さんの元に「素敵なリアルな魚のぬいぐるみをご紹介くださり、ありがとうございます。Amazonも、楽天も、どんどん売り切れになりましたが、お友達の猫ちゃんのために、ニジマス買えました」とお礼が届いた。愛猫家たちに影響を与えたコンドリア水戸さんに話を聞いた。

人間は猫のご機嫌を取るためには何だってする

−−リアルお魚を与えて、猫たちはどんな反応でした?
「真っ先に反応したのは一番若いキジシロでした。他のおもちゃと同じようにボスは初めは興味なさそうにしていて、みんなが一通り遊んだ一番最後に興味を持ちました」

−−ボスはその後も飽きずに遊んでいますか?
「少しまたたびの香りが薄れてきたからか反応は薄くなってきていますが、出してあげて誰も遊んでない時に舐めたり齧ったりしています。他の子が遊んでる時は奪いに行ったりはせずに、チラチラ見ています。今のところ壊されてはいません」

−−ボスを飼うようになったいきさつは?
「いつからか庭に遊びにくるようになった地域猫なのですが、交流を重ねるうちにその独特の風貌と硬派な性格に惹かれお迎えしたいと思うようになりました。触れることができるようになるまでもかなりの時間がかかり、お迎えまでも一年近く時間がかかりました。お迎えして一年たった今でも一定の距離を保たれています。外にいた時は引っ掻かれたり噛まれたりもしましたが、お迎えした後は他の猫たちによく甘え、争いを好まない穏やかな性格の猫であることがわかりました」

−−今回、ツイートがネットショップの売り上げにも影響しました。感想を教えてください。
「ツイートした直後に色んなショップが一斉に在庫切れになっているのを見て、(ニジマスが)“乱獲”されてしまったのかと驚きました。いち猫飼いのツイートがそのように影響するなんて不思議な気持ちでしたが、うちの猫たちが楽しそうに遊んでいるのを見て、多くの飼い主さんが猫ちゃんに与えたいと思ったという事だと思いますので、やはり人間は猫のご機嫌を取るためには何だってするんだなと思い、猫は地球の真の支配者なのだと改めて感じました」

−−う〜ん、なるほど。猫、優勝。

(まいどなニュース・佐藤 利幸)